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回答15:養父知美弁護士

2013.07.10 Wed

 

葬儀場を建設しようとする場合、火葬場を併設する場合には、「墓地、埋設等に関する法律」による規制があり、原則として、都道府県知事の許可が必要です(墓地、埋設等に関する法律第10条)。都市計画法や建築基準法上も、都道府県による都市計画による位置等の決定が必要とされています(都市計画法第11条1項7号、2項。建築基準法第51条)。
しかし、火葬場を併設しない場合、葬儀場の建設自体を規制する法律はありません。都市計画法において、葬儀場は集会場の一種として扱われており、一部の住宅地域では建設が制限されていますが、それ以外の地域においては、他の一般的な建物と異なる制限は課されていません。

 

まずは、建築確認(建築基準法等の建築関係規定に適合していることの確認)などの必要な行政手続をへているかを確認してください。
建築関係規定に適合していて適法な建物であれば、建築の差し止めや損害賠償請求は、難しいと思います。

 

どのような葬儀場が計画されているのか、確認してください。建設された場合、どのような弊害が生じるのか。弊害はどの程度のものか、受忍できないか。弊害を防止する手立て、弊害を小さくする方法はないか。これらについて、具体的、現実的に、冷静に、検討して下さい。
人の死や死体に対する「穢れ」「忌」の意識や、喪服や霊柩車への「嫌悪感」は、心のうちにおけないでしょうか。死は、誰にでもいつかは訪れるものです。
最近は、火葬場でも煙突もなく煙も出ず、緑地が広くとられ、芝生のある公園にしか見えないような施設もあるようです。
騒音や迷惑駐車の可能性については、防音装置や駐車場の整備で対応可能かもしれません。ホールの大きさの制限、建物の外観の工夫や外壁の設置によって、負担を軽減できるかもしれません。

 

葬儀場の建設自体は止められないまでも、弊害を最小限にとどめるよう、計画変更は可能かもしれません。できれば、マンションの管理組合や周辺の住民の人たちと一致団結して、事業主と交渉してみて下さい。
法律上は建設強行が可能だとしても、「反対!」の幟や立看板がかかげられた場所で、道を尋ねても憮然とされるような地域で、敬虔な葬儀が営めるか、事業主も危惧するところだと思います。

 

自治体に、相談してみるのもよいと思います。自治体には、建築に関する相談窓口が設置されているところが多いようです。相談内容に応じて、事業主や施工業者に対して、住民との十分な話し合いを行うよう指導したり、助言したりしてくれるようです。

カテゴリー:回答 / 養父知美弁護士

タグ:くらし・生活 / no.15 / 法律相談 / 養父知美 / 損害賠償請求 / 葬儀場 / 火葬場 / 墓地、埋設等に関する法律 / 都市計画法 / 建築基準法 / 行政手続 / 建築関係規定 / 喪服 / 霊柩車 / 建設強行