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回答17:打越さく良弁護士
2013.09.02 Mon
ずいぶん身勝手な夫ですね。それでもお子さんたちの前で夫婦げんかもしないで過ごしていらっしゃる。ご立派です。
別居5年で離婚が認められてしまう、と誤解している方が少なくありません。96年の法制審議会の民法改正法律案要綱が、別居5年も離婚原因としたからでしょうか。でもこの民法改正案は、選択的夫婦別姓等の条項もあり反対にあって、未だ政府から法案提出もされておらず、別居5年は離婚原因になっていません。
ただ、家裁実務では別居が相当期間長期化していたら、婚姻関係が破たんしているとして、離婚請求を認める傾向にあります。しかし、何年別居していたら婚姻関係が破たんしていることになるのかは、一概にはいえません。
あなたの夫は、週末にはご自宅で食事をしたり、あなたの残業時には夕飯の支度をしているなど、ご家族と交流なさっています。こういう事情も考えると、そもそも破たんしているとはいえないのではないかと思えます。破たんしていない以上、夫が離婚請求しても、あなたが応じなければ、裁判所が離婚原因ありとは認めないようにも思えます。
仮に、破たんしているとしても、破たんの原因をつくった当事者(有責配偶者)からの離婚請求は原則として認められません。しかし、有責配偶者からの離婚請求でも例外的に容認される場合もあります。1 夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及び、2 未成熟子が存在しない場合で、3 相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的にきわめて苛酷な状態に置かれる等離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情が認められなければ、認められうることになります(最高裁大法廷昭和62年9月2日判決民集41巻6号1423頁)。
仮にあなたたちの婚姻が破たんしていると評価されても、その原因を作ったのは、二度も浮気をしているようなあなたの夫ですから、原則として夫からの離婚請求は認められません。10年の同居期間に比し、5年の別居は相当長期間ともいえないでしょう(まだ交流もあることを考えると、別居とも評価されないかもしれません)。そして、まだ15歳と12歳のお子さんたちがいらっしゃることを考えると、未成熟子が存在しない場合にもあたりません。あなたの収入や今後の生活見通しによっては、離婚が認められると苛酷と評価されうるでしょう。あなたの夫がその生活不安を払しょくするほどの十分なお金を払うといった事情があれば、苛酷ではないとも評価されるかもしれませんが、今のところそんな提案はないのですね。
具体的には、最寄りの弁護士会等の法律相談に赴かれて、相談してはいかがでしょうか。
弁護士 打越 さく良
タグ:くらし・生活 / no17 / 法律相談 / 打越さく良 / 婚姻関係 / 未成熟子 / 民法改正法律案要綱 / 選択的夫婦別姓 / 別居5年 / 離婚原因 / 破綻 / 有責配偶者 / 離婚請求 / 生活不安