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回答26:打越さく良弁護士
2014.11.03 Mon
1 元夫に対して
パートナーのお子さんたちや上司に理解があって良いですね。それでも、元夫の行動にはお困りのことでしょう。パートナーが「大丈夫」と言い、上司の方も特に問題視していないなら、元夫の嫌がらせはさほど頻繁でもないのでしょうか。相手にしなければ、元夫も白けておさまってくれるかもしれません。しかし、そうもいかない場合には、パートナーから元夫にこれ以上嫌がらせ行為をする場合には、損害賠償請求をするという内容の警告の通知を出すのも一案です。若干の費用がかかりますが、弁護士を代理人としてつけて代理人から出してもらうと、本気度がより伝わるかもしれません(逆上するかもしれませんが、まあ、もともと憤っているようですから、それを恐れていてもしかたないでしょう)。
元夫からすれば、自分はあなたたちの不貞の被害者だということなのでしょうが、その点は既にあなたが多額の慰謝料を支払う義務を負ったことで一件落着しているということですよね。或いは、あなたが「多額」と思っても、相当額よりは低い金額で、不貞という共同不法行為者の元パートナーに対してはまだ請求すべき金額が残っている、と元夫は考えているかもしれません。その場合でも、元夫は、嫌がらせなどする権利があるわけではなく、パートナーに残る慰謝料相当額を請求する権利があるだけで、淡々と通知するなり、裁判を起こすなりすればいいのです。不貞をしたからといって、嫌がらせに我慢する必要は全くありません。
通知しても、一向に収まらない場合には、嫌がらせ行為を止めるよう、地方裁判所に仮処分を申し立てることが考えられます。その場合、嫌がらせ行為の証拠が必要になります。裁判所に仮処分を認めてもらえるほど緊急性があるかどうかなど、その事案によるので、法律相談に赴かれたほうがいいでしょう。仮処分を申し立て、裁判所が元夫を呼び出してくれた場合、話し合いの結果、和解が出来ることもあります。
2 パートナーと妻の関係
あなたはパートナーに離婚してほしいとのことですが、そもそもパートナーご自身はどうなのでしょう?パートナーが離婚する気がないなら、あなたはそのパートナーの気持ちを受け入れるか、受け入れがたいのならお別れしたいほどなのか。あなた自身のお気持ちの問題です。
パートナーご自身離婚したいのであれば、あなたとの交際前に5年別居していたということですし、既に婚姻関係は破たんしているとして離婚事由(民法770条1項5号)ありとして、離婚請求が認められる余地があります。しかし、5年別居していたとしても、その間も交流がある場合(たとえばご夫婦で旅行したり食事をしたりしている場合)には、破たんしているとはいえないかもしれません。それでも、お子さんたちが既に成人している上、あなたたちの関係を認めてくれているとか、今まで妻の住居費を払ってきたとか(これからも一定の金銭的給付をするのであればなおさらプラスです)、妻が経済的にも精神的にも自立していて離婚となっても苛酷ではないといった事情を総合すれば、離婚が認められる余地は大いにあります。
ただ、いきなり離婚原因の有無を立証する裁判より前に、話し合いで解決できるなら消耗しないで円満離婚できるかもしれません。手続としても、いきなり裁判はできず、まずは話し合いや調停を経ることになります(調停前置主義、家事事件手続法257条1項)。
タグ:くらし・生活 / no26 / 法律相談 / 打越さく良 / 元夫 / 慰謝料 / 損害賠償請求 / 不貞の被害者 / 共同不法行為者 / 嫌がらせ行為 / 地方裁判所 / 仮処分 / 離婚事由 / 離婚原因の有無 / 円満離婚 / 調停前置主義