NPO法人WAN

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「WAN(ウィメンズアクションネットワーク)設立のつどい-今始まる!ウェブがつなぐ女たち」報告 荒木 菜穂

2009.06.05 Fri

// 去る5月31日、ウィメンズアクションネットワーク設立記念のつどいが開催された。会場では、WANのグッズも販売され、多くの参加者が集い大変盛況な会となった。

 理事の牟田和恵氏による挨拶と趣旨説明の後、上野千鶴子氏による記念講演が行われた。講演では、「女から女たちへ」「シスターフッド」という言葉を含むこの講演タイトルが、時代錯誤とされたことに触れられた。女同士の友情は成立しない、と真剣に議論されていた時代において、これらの言葉は、深い意義を持って迎えられたが、今や、女性という集合的アイデンティティは虚構であるとするポスト構造主義の時代。しかしこの時代においてこそ、虚構であるはずの「女性」にたいし、意図的にコミットすることが重要であると述べられた。 続いて、「WANができるまで」の背景について、フェミニズムや男女共同参画へのバックラッシュ、ジェンダーや女性運動に関する多くの本を扱っていた「女の本屋」の閉店、プリントメディアの衰退の一方でのウェブの発達(活用はバックラッシュ側のほうが上手)などが挙げられた。また、バックラッシュからの、あの手この手での守備ではなく、攻めの姿勢でのこれからの女性運動を展開していく重要性、またミニコミ媒体を活用し行われてきた草の根の女性運動に向け、WANという新たな媒体への引越しの提案が述べられた。

 次に、「WANにできること」として、フェミニズムの正しい情報発信(今は「フェミニズム」で検索するとバックラッシュ側のサイトが上位に来る時代)、安心できる情報交換の場の確保、女性間のネットワークの構築、フェミニズムの遺産の継承(でも「フェミニズム」を前面には出さない)が、さらに「WANは誰をつなぐのか」として、ウェブサイトの機能を生かし分野・地域を越えた交流、またITが日常となった若い世代と、ベテラン世代との交流が挙げられた。アクセスの増加、さらなる運動との連携、政治的なプレゼンスが、WANの目標として最後に掲げられた。

 講演の後、サイトの全体説明、各コンテンツに関する説明が各担当者からなされた。フロアとのやり取りでは、サイトの使用法や、悪意のある攻撃への対処に関する質問が相次いだ。S-WANでは「荒らし」を防ぐため投稿を承認制にしていることなど、現時点での対策と今後は様子を見ながら対応していく旨が回答された。

 女性運動の担い手の方々からは、様々なテーマでの日本の女性運動の現状と、机上の空論ではなく現実に有効な活動となるべきなど、WANへの期待の声が寄せられた。また、研究者の名前ばかりが目に付き女性運動の活動が目立たない、コンテンツに偏りがあるのではないかという声が上がった。WANからは、不十分なジャンルがまだまだある。多くの人が関わり、サイトを育てていく中で、様々なテーマを充実させていきたい。また、様々な活動との交流の中で、女性運動に関しても充実させていきたいという回答がなされた。

 「女」は虚構の時代にあえて「女性」運動のサイト、とは、なお「女」が集合として攻撃を受けしかし「虚構」により攻撃が不可視化される(もはや「女性」差別は無い、など)現状でこそ意義深い。だからこそ、性に規定された時代を生きる全ての人々にとって血の通ったものでなければならない。参加者の言葉にあった、「運動」で起こりがちな「仲間割れ」は本当にもったいないし、一定の価値観の押し付けになってもいけない。防御ではなく攻めの姿勢での活動とは、否定ではなく創造、という意味でも前向きで楽しいものになるはずである。WANの今後は、「どう作ったか」ではなく「どう使っていくのか」、という言葉にかかっている。

カテゴリー:WANの活動

タグ:荒木菜穂 / NPO法人WAN