エッセイ

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旅は道草・その8 アルジェリアから届いたX'masプレゼント   やぎ みね

2009.12.22 Tue

 クリスマスに、アルジェリアから、とびきりおいしいチョコレートが届いた。2006年からODAの工事でアルジェリア駐在中の、私の従姉妹の息子からのプレゼントだ。

 去年暮れ、叔母の手術に立ち会うため、京都から熊本に帰ったとき、たまたま従姉妹が、「息子が、アルジェリアからネットで熊本の家の物件を見つけて、『苦労をかけた母さんに住んでほしい』と言ってきた。家を一緒に見てほしい」という。古いけど、こじんまりした日本家屋で、なかなかいい家だった。彼女はすっかり気に入った様子。「息子は、しばらく日本に帰ってこれない。私一人では交渉できないから手伝って」と。

 へんな役回りで、それからは、熊本・アルジェリア・京都の3点をネットで結んで、不動産屋さんと値段の交渉・手続きを進める。お正月明け、私も立ち会い、無事に契約終了。彼女はいま快適に一人住まいを楽しんでいる。「春には、庭の枝垂れ梅が、きれいに咲きましたよ」と伝えてきた。 モロッコからチュニジアまで延長1200キロ、地中海沿いを東西に走る高速道路の建設工事。各国JV(共同企業体)が、分区を担当し、日本人670名、アルジェリア人12000名でプロジェクトに従事。2010年春には竣工予定とか。日本の工区は地盤もゆるく、トンネルは泥灰岩(マール)など、軟弱地山を掘削するので非常に難工事らしいが、他国のチームに比べて順調に進捗していると聞く。

 「アルジェリアは、隣国のモロッコやチュニジアに比べて、フランス属領だった時代が長く、法制度上は完全にフランス化し、近代化は進んでいる。でもチュニジアに見られるようなフェニキア・アラブ文化の名残りは、すべて壊されてしまい、わずかにローマの遺跡が残っているくらい」というのは、私のフランス在住の友人の話だ。

 JVを統括する総合所長の報告によれば、「近代化が進みつつある振興工業国やオイルマネーの流入する国々で、現在、大規模プロジェクトが次々と計画・実施されている。日本の若い建築技術者が、本来とるべきリスクにチャレンジしながら、「現場力」を高め、これまで培ってきた日本の建築技術の発展と、次世代への技術伝承のために、ぜひ彼らに海外で活躍してほしい」と。

 全員、単身赴任が原則。年数回の帰国。夜8時以降は外出禁止。大統領が視察するとなれば、現場はおおわらわになるらしい。夏に会った時は、さすがに日焼けして、たくましくなっていた。来年春の竣工後、ようやく帰国。しばらく親子でゆっくり過ごせるのを楽しみにしているという。

 クリスマス・プレゼントのチョコレートは、さすがにフランスの香りがして、とってもおいしかった。

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タグ: / やぎみね / アルジェリア