エッセイ

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「旅は道草」その10 スペイン~フランス国際列車の旅 やぎ みね

2010.03.15 Mon

 マドリッド~バルセロナ~モンペリエ~パリへ、国境を超えて国際列車の旅をした。

 さすがスペイン。アムステルダムからマドリッドへのローカル線の飛行機は、コックピットのドアがパタパタと開いて、操縦室が丸見え。子どもが自由に出入りするほどの、ゆるやかさ。だがEU統合後のヨーロッパは、域内は税関もフリーパス、便利になった半面、アフリカや東欧諸国から職を求めて人口流入が激しく、経済格差もかなりのものだと聞く。 マドリッド泊は1853年est.の、INGLESというプチホテル。昔、ヴァージニア・ウルフがこのホテルに滞在し、執筆したという。フロントに「ヴァージニア・ウルフが泊まったことがあるんですってね」と聞くと、「スペイン語ではヴァーヒニア・ウルフと発音するんだ。フィリピンのイメルダ・マルコス夫人も泊まったよ」と。

 マドリッドのチャマルティン駅発、国際列車Targoで、7時間半かけてバルセロナへ。途中、サルゴザ駅で停車以外は、ノンストップ。車窓から見える広大な荒野に、ポツンポツンと要塞跡が走りすぎていく。新幹線ほどの快速ではないが、車内はゆったりと快適。ところで前の席のおじさん、連れの若い女性の手を、ずっと握りっぱなしじゃないか。さすが、ラテンの男だ。

 陽光まばゆいバルセロナ着。賑やかなラングラス通りは、元気な若者たちでいっぱい。通りからちょっと横に抜けると、市場があった。地中海の産物が山盛りに並んでいる。どの国でも、市場の裏通りのレストランが、一番のおすすめ。

 サンツ駅から、再びTargoでマルセイユへ向かう予定が、待てど暮らせど、出発の表示が出ない。「demorade」とある。延着なのかな? 窓口も「わからない」と言うばかり。待合室で3時間待ち。ボルドーへ行くという女性がつれた「リリー」という名の子ねこと、じゃれあって時間を過ごした。急に人が動きだした。ホームに走ると、バックパッカーの女性が「Go to the train」と叫ぶ。言われるままにマルセイユ行きに飛び乗った。

 動き出して1時間後、またまた列車が動かない。ずいぶんたって車内放送で「アウト・ブース」と繰り返している。前の席の若い男の子に「アウト・ブースって、なんていう意味?」、「with bus」。バスに乗り換えろということなのだ。

 フランスとの国境の町・フィゲラスで下車。そこから国際高速バスに乗り継げという。スペインの画家サルバドール・ダリの生まれた町だ。駅前のバスターミナルから満員のバスに乗って、南仏プロバンス地方を高速バスでビュンビュン飛ばすこと3時間。こんなに飛ばしていいのかしらと思うほどの超スピード。途中、モンペリエで、終点だという。

 その日は、市電が通る古都・モンペリエに宿をとり、翌日、フランスTGVで、パリのガレド・リヨン駅まで3時間の列車の旅。南仏のぶどう畑を楽しみつつ、ようやく国際列車の旅を終えた。

 地中海を見渡すバルセロナはあくまでも暑く、パリは夏の終わりだというのに晩秋のような冷え込みに、慌てて毛糸のセーターを買い込んだ。

 日本に帰ると突然、ニュースが飛び込んできた。9・11同時多発テロだと、あとで知ってびっくり。旅の夢は終わった。

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