2010.06.15 Tue
友人が、ギリシャへ旅立った。連休明けに成田を発ち、ゼネスト決行中のアテネ着。ペロポネソス半島を、ぐるっと回って一周。3週間ぶりに、真っ黒に日焼けして帰ってきた。
ギリシャは、2001年、ユーロ圏に入ってはみたものの、国は借金まみれ、公務員の数も多く、年金水準も高い。ギリシャ危機に端を発したユーロ危機は、次はポルトガル、スペイン、イタリアにも及びかねない。そして同じく、国が借金まみれの日本にも。 EUとIMFからの経済支援と引き換えに、厳しい義務が課されることに反発、「お前たちの言うことなんか、聞くもんか」と、アテネや、港町パトラでは、何度かデモに遭遇したとか。だが、ギリシャの大きな田舎・ペロポネソス半島は、どこまでも、のんびり静かだったという。
コリントス、ミケーネ、ナフプリオン、エピダヴロス、スパルタ、ミストラ、オリンピア、パトラからデルフィへ渡って、アテネまで。路線バスで1000キロを踏破。運転手はハンドルを握ったまま窓を開けると、タバコをぷかぷか。途中、ふらっと降りては飲み物で一服。もちろん時刻表は、いい加減。バスを降りて、山頂にある遺跡をめぐり、時間を見計らって山を下りてきても、バスは、待てど、くらせど、やってこない。
観光業がGDPの2割を支えるというのに、遺跡への道案内も乏しく、ツアーの観光客が慌ただしく走り去るだけ。宿のドアが壊れていようが、おかまいなし。トイレの故障だって気にしない。ちょっと修理すれば、と思うのは、いらぬお節介。「そんなの、ほっといてくれ。俺たちの勝手さ」と言わんばかり。それがギリシャ人気質の、いいところか。
映画『旅する女 シャーリー・バレンタイン』(Shirley Valentine、1989年 イギリス)は、平凡な中年の主婦シャーリーの初めての海外旅行。ギリシャ・ミコノス島がロケ地だ。保守的なイギリス人夫婦が、朝食に出たイカのリングに卒倒し、チップス&エッグスを頑固に所望するシーン。若いギリシャの男と、海上ボートでのアバンチュールなど、楽しくコミカルな作品。まだ専業主婦だった頃の私、「いつか私も、旅する女になる」と、うきうきしたものだ。
メリナ・メルクーリ『日曜はダメよ』(1960年 アメリカ・ギリシャ合作)の懐かしいメロディも聴こえてくる。のちにギリシャの文化科学大臣になったメルクーリは、大英博物館に向けて「パルテノン神殿の彫刻群をギリシャへ返せ」と求めたことでも有名。
オリーブの実とヤギのチーズが、たっぷり乗った生野菜のグリークサラダ。ドロッとしたコーヒーが沈むのを待って飲むエリニコカフェ(グリークコーヒー)。そしてギリシャワインも。太陽の恵みいっぱいの食事は、とびきり、おいしく、安かったとか。
それにしても、どうなってるのん? 向こうで3週間も前に投函した絵はがき、まだ着かないよ。ポストマンが、スト決行中なのかな。
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