2012.07.27 Fri
冒頭に上野さんから、今日は木村栄さんの「女友だち」の出版記念の会ですよね。皆さん読まれてきましたか で始まりました。 体調が万全ではない木村さんは、10分でも、ということで来られたのですが、なんと2時間フルに居てくださいました。本も読まず参加した私は、その時初めての出会いでした。以下の感想です。
木村栄さんは、内省的で静かで激しい方でした。とても正直で、人生と向き合ってこられた方と思われました。私はスペースナナで過ごす時間と共に、木村さんの近くに自分が居ることを感じ、また大きさと暖かさにつつまれて、とても気持ちが良くなりました。こんな方と時間を共有したいと、思わせる方でした。帰りの電車で気づいたことは、私がそう感じたのは、木村さんが開かれた人であったからだということでした。相手に対して自分を開くことの出来る、そういう方です。私は、ただ嬉しくて木村さんに触れて、何かを共有したと感じたのです。
次は、ニキについてです。フランスの造形作家ニキ・ド・サンファルについては、またまた当日まで知りませんでした。スペースナナの代表の稲邑さんからのお話で、上野千鶴子さんとニキとスペースナナのつながりを知りました。スペースナナにあるニキの描いた、女性が両手を挙げて飛び上がっているような絵は、フランスの現代絵画にみられる生命力を感じさせるものでした。私の隣に参加していた方は、すこしニキのナナの絵は元気がよすぎて気後れしてしまうと話していました。上野さんも、今の若い人には少しイメージとして、圧迫をあたえるみたいとお話しされていました。私にはアートとして、パワフルで洗練された絵といった印象で、勧められた那須高原にあった(今はもうないのですが)ニキ美術館について作製されたDVDを買って帰宅しました。 ニキのことは、話を聞いてから段々と興味が湧いてきました。DVDを見てからは、その作品と人により魅せられました。“生きる”ということにとても正直な、やはり芸術家だと思います。
ということで、上野さんの「女友だち」についてのイベントでしたが、私にとっては、深いところで自分ともつながっている「人」との出会いの日でした。 木村さん、出席してくれてありがとうございます。
最後に私が今回のイベントから考えたことを書きます。初めに「女友だち」という言葉を聞いたときには、なぜか遠い抽象的なイメージでした。今回のイベントに参加して、木村栄さんとニキに出会ってから後に、自分の中で少しずつ考えを進めることができるようになりました。出会って感じた何かが、自分にも流れているということです。抑圧がなければ、自由もわかりません。現在の社会では弱者に位置する女性が自由でいることの貴重さと、そこにいたるまでには真剣な努力・生きる力強さが必要であること、またそれはある意味での戦いでもあるほど厳しい道であることを自分に確認させるものでした。人はひとりでは生きることは難しく、共にあるときは歩み、話し合う人が必要なことはいうまでもありません。「女友だち」とは、自分が自分であるためにおそらく港のようなものかもしれません。
カテゴリー:投稿エッセイ