原発ゼロの道

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Nuclear Free Now! 脱原発世界会議2 レポート

2013.02.12 Tue

Nuclear Free Now! 脱原発世界会議2

原発ゼロへ女たちが手をつなぐ

――日常のモヤモヤから政治へセッション報告

2012年12月15日(土)16時~18時@イイノカンファレンスセンター(ルームA)

主催:Nuclear Free Now! 実行委員会

企画:ウィメンズアクションネットワーク&グリーンピースジャパン

登壇者:

上野千鶴子:社会学者、NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長

ミランダ・A・シュラーズ:ベルリン自由大学教授、ドイツ政府環境諮問委員会 (倫理委員会)委員

松浦雅代:原発がこわい女たちの会

橋本典子:上関原発を建てさせない祝島島民の会

今大地はるみ:福井県敦賀市議

植田真紀:元香川県高松市議

アミ―・クロンブラド:スウェーデンの女性組織リベラル・ウーマンのメンバー、元地方議員

寺町みどり:『市民派議員になるための本』著者、女性を議会に 無党派・市民派ネットワーク

アイリーン・美緒子・スミス:グリーンアクション代表

矢内琴江:WANのビデオ発信チームVoices WANスタッフ

百崎ゆう: Voices WANスタッフ

山秋真:『原発をつくらせない人びと――祝島から未来へ』(岩波書店近刊)著者。

鈴木かずえ:グリーンピース・ジャパン エネルギー問題担当

金繁典子:グリーンピース・ジャパン 渉外/シニアオフィサー

◆ 司会 熱田敬子: Voices WANチーフ。社会学、ジェンダー論

企画参加人数:約140人

報告書記載者(文責):金繁典子、山秋 真

セッションの目的

 なぜ原発をふくむ無駄な工業化が長年すすめられてきたのか。世論調査などの結果をみると、常に男性よりも多くの女性が原発に反対している。しかし、その声が政治に届いていない。日本の政治的意思決定の場におけるジェンダーバランスの悪さが、原発を肯定する政治をつくり、その進展を許してきた。女性の視点を入れることは、いま、不可欠だ。これまで無視されてきた声を届けるためには、どうしたらいいのか。日常生活の中では、周囲につながる相手がいなかったり、デモをしても効果がみえにくかったり、思いがからまわりしたりと、ひとりで希望を持ち続けることが難しい状況がある。逆風のなかで希望を持ちつづけるためには、知恵と工夫が必要。各地で難しい状況の中戦ってきた女性たちの経験を共有し、広め、語り合い、その元気を持って帰って、アクションにつなげていく。

 セッションは4部構成で行い、第一部は「原発ゼロへ-東京とベルリンの女から」と題して上野千鶴子さんとミランダ・A・シュラーズさんから、政治に女性の声が届いているのか、その現状と、届かせるためにはどうしたらいいのかを語ってもらった。

 上野さんからは、国際的にみても非常に低い日本の女性の地位の現状(2011年)を、GGI(男女平等指数)101位や、国会議員、地方議員、地方自治首長などの女性に占める割合などで提示された。そして衆議院議員選挙を前にウィメンズアクションネットワークを中心に24団体280人が連携して行った「ジェンダー平等政策」全政党公開アンケートの結果を提示し、各党の考えが明白に異なることを指摘。男性と女性の政治の違いは短期利得か長期利得(次世代の利益も考えるか)かという点にもあり、政治的意思決定におけるジェンダーバランスの重要性が指摘された(回答結果は以下にアップされている。http://p-wan.jp/site/)。

 『女性が政治を変えるとき』(岩波書店)の著者でもあるシュラーズさんからは、ドイツの女性と脱原発運動について、ジェンダーバランスのとれた緑の党の活動が脱原発に大きく寄与したことが説明された。

 「モヤモヤを言葉に」と題した第二部では、生活のなかで原発の脅威に直面し、それとたたかっている人びとの話をうかがった。冒頭、福島アウシュビッツ平和博物館による企画展「水俣展」の取材ビデオ「福島・水俣・レスキュアーズ」(VoicesWAN製作、約13分)を上映した。取材協力者のひとりである同博物館の小渕真理さんはフクシマ・アクション・プロジェクトの共同代表のひとり。小渕さんのインタビュー映像とともに、同企画展に関わられた/来場された方々の肉声が伝えられた。

和歌山の松浦雅代さんからは、紀伊半島で原発計画に異を唱え建設を許さずにいる人びとには、第二次世界大戦に参加した/教え子を戦場へ送り出した経験から、国策が本当にいいのかどうかを自身で考えるようになった人びとが多かったと伝えられた。

30年前から毎週つづく原発に反対するデモが、通算1151回を数える祝島の橋本典子さんからは、和気あいあいとした島の生活は原発計画によって無くなった、中電と国に人間関係をバラバラにされたのがとても悔しい、「私たちは、自然と共に生きたい、それだけの事がとても難しい」という率直な声が伝えられた。

 第三部は、「言葉を政治に」と題して、それぞれの思いから立候補して議員となり、さらにつながりを広げて議員活動をされてきた女性たちの経験を聞いた。

 女性議員がたった1人だった香川県議会の女性議員のもとで、議員インターンシップをきっかけに20代の若さで高松市議になった植田真紀さんは、議会出席手当てなど市民感覚から大きくずれた制度がゴロゴロしているのに驚き、特権化された政治を市民感覚に近づけようと活動した経験を話された。

 4期目の選挙となった2011年4月の統一地方選で、「原発銀座」と呼ばれる若狭湾の敦賀で「脱原発」を掲げ、当選を果たした敦賀市議の今大地はるみさんからは、原発が立地する自治体の議員として、原発に共生して生きてきた市民のひとりとして、原発は私たちの人生から「考える」という一番大切なことを奪ってきたことを知ってもらいたい、と語られた。

 クロンブラドさんからは、日本社会では女性のリーダーが少ないが、その壁を越えるには自分の所属する組織を越えて、自分の信じることを個人としてコミュニケーションしていくこと、そのためには友人らとネットワークを広げることが大切であることが伝えられた。

地方議員を経て無党派・市民派の女性議員を増やす活動を続ける寺町みどりさんからは、国の政治がどんなふうにかわっても人びとは地域で生きつづける、だから、みずから議員になって地方議会へ入り、思いを言葉に、言葉を政策にして、それを市民の元に形として返していくのが市民派議員の仕事だ、あなたも議員に、という話がなされた。

 WANとグリーンピースのスタッフからそれぞれの活動についてスピークアウトした後に、会場からのQ&Aが行われた。

 会場の男性から「男性はジェンダー平等のためになにができるか」と質問があり、壇男女比を50:50にしようとあらゆる場で提案して(アイリーンさん)、男性の役割は女性の邪魔をしないこと(上野さん)と応答があった。「日本では教育で政治が教えられない」問題点の指摘や、女性がもっと立候補すべきことなどが語られた。

 最後に参加者がひとつの夢を共有して持ち帰ってもらうために「物語つむぎ」を行った。テーマは「衆議院選挙で脱原発派が圧勝した」。参加者一人ひとりがそのとき自分はどうするか、なにが起きるかを考え、語って終了した。

 上野さんとシュラーズさんの話から、ジェンダー平等に近づけば脱原発の実現も早くなる大きな可能性を実感し、原発立地を阻んだ女性たち、市民派地方議員たちのパワフルな活動を聞いて自分も脱原発にむけてさらになにかを始めようと思った人は多いのではないか。10人ほどの小さな集まりを定期的に近所の女性たちで持って、語り合い、行動にうつすことをはじめたと語った方もいた。原発立地を許さなかった各地の運動のように、原発ゼロへの大きなうねりも、小さな動きがたくさん集結して実現する。この日それを確信した女性たちがネットワークを広げ活動を続ければ、それは実現する。

カテゴリー:脱原発に向けた動き

タグ:脱原発 / 原発 / 上野千鶴子 / 山秋真 / 寺町みどり / ミランダ・A・シュラーズ / 松浦雅代 / 橋本典子 / 今大地はるみ / 植田真紀 / アミ―・クロンブラド / アイリーン・美緒子・スミス / 矢内琴江 / 百崎ゆう / 金繁典子 / 熱田敬子