エッセイ

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シングルマザー1年(旅は道草・38) やぎ みね

2013.03.20 Wed

 娘がシングルマザーになって1年。いま2歳半になる孫娘も、早やこの1年でびっくりするほど大きくなった。
 結婚15年目にたまたま授かった子どもを前にして17年目に娘は自ら離婚を選びとった。

 離婚には一人ひとりのわけがある。二十数年前の私もまた、わけがあった。そのわけに自分で答えを出すには少しばかり時間がかかったけれど。
 でも、その選択の先には、もう一つの、いい人生が待っていたのは確かなことだ、娘にとっても、私にしても。

 瑛太と尾野真千子、真木よう子と綾野剛が出ているフジテレビのコミカルなドラマ「最高の離婚」(3月21日(木)最終回)じゃないけれど、娘と元・夫にとって、それぞれ一人で自立して生きていくには「ベストな離婚」だったのではないかと。そうなるように、これから二人は生きていかなければならないと思う。

 WANを支援してくれている京都の女性弁護士に頼んで、メモと資料をしっかり準備してスピーディに協議離婚が成立した。親権と養育費と住居のことなど公正証書もつくってもらって。
 調停や裁判で何年もかかって不調に終わるケースが多いなか、ずいぶんとスムーズに終わったのは幸いだった。

 パパとの面会は月に一度。水族館や動物園、御所で会うのを子どもは楽しみにしている。

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 アメリカでは「クレイマー、クレイマー」以後、「夫婦の別れを親子の別れにしないために」と、1979年、カリフォルニア州で民法改正、2003年までに全州で離婚後も子どもに関して両親が責任をもち続ける「共同子育て」が主流になっているという。フランスでも2002年、法律で共同親権が決められた。しかし日本では果たしてどうなのかな。

 絵本『ココ、きみのせいじゃない』It’s Not Your Fault, Koko Bear(ヴィッキー・ランスキー著、中川雅子訳 太郎次郎社)を読むと、なるほどと思うけど、DVで別れた場合は、とても考えられないだろうなとも思う。

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 もう一つ、お役立ちの本『シングルマザー生活便利帳』(新川てるえ・田中涼子著 太郎次郎社エディタス)には、シングルマザーのための仕事と生活のノウハウと応援策が載っている。

 ネットの口コミサイト「ウィメンズパーク」の「シングルマザーの部屋」には、互いに支援や励ましのコメントが日々、寄せられている。

 児童扶養手当、児童手当、医療補助など、昔に比べればずいぶん整えられてきたとはいえ、まだまだシングルマザーの現実はなかなか厳しい。
 娘もまた自活するためにSOHOの仕事をぼちぼち始めて、何とか頑張っている。

 今の彼女にとって最大の支えは小さい娘だけれど、その二人をバックアップしてくれる頼もしい女友だちがいっぱいいる。誰ひとり離婚を機に離れていった友はなく、古い友人や今のママ友たちは、みんな娘の味方だ。「あなたは正しい。間違っていないよ」と、いつも応援してくれるのが、ほんとにうれしい。

 シングルマザー1年目のご褒美に、先日、東京で会議があったのを機に、娘を誘って子連れで京都から東京へ2泊3日で出かけた。東京在住の元同僚の女友だち、ジョンミン(韓国)とイェンリン(中国)、子どもが同じ2歳のカリンちゃん母娘と、それぞれ後楽園や四谷の東京おもちゃ博物館で会って、思い切り遊んだ。

 子どもがそろそろ物心がついてくれば、彼女は両親の選択をどう受け止めるのだろう。娘は「少し心配だけど、正直に本当のことを、わかるように話そうと思っている」という。孫娘も、その事実にちゃんと応えてくれるに違いないと、私は信じている。

 連載「旅は道草」は、毎月20日に掲載予定です。これまでの記事は、こちらでお読みになれます。








カテゴリー:旅は道草

タグ:子育て・教育 / シングルマザー / 離婚 / やぎみね