2013.03.25 Mon
あの日から2年。東日本大震災は、わたしたちにあまりに多くの事をもたらしました。 発災からの1年は、まさに復旧に向けてのあわただしい対応に追われ、全力疾走で走り続けた状況でした。 わたしたちは2011年8月から毎月集り、3県の様子を共有してきました。2年目となる1年間は、各県に共通する課題を持ち寄り、その解決のために自分たちに何が出来るか、また何をなすべきかの議論を重ね、それぞれの県や市町村ごとに、あるいは組織の性質の違いに配慮した支援メニューのあり方や、ニーズをめぐる情報交換や共有を行って、これから取り組むべき動きを生み出すための学びの場をつくって活動してきました。 また、被災地の外からも被災地支援のための資金助成や、活動拠点の設置、ボランティアやスタッフなどの人的な支援といった様々なリソースが投入され、これまでにない新たな風がわたしたちをエンパワメントしてくれました。 しかし、現在も約32万人が避難生活を余儀なくされ、生活再建などの先行きが見通せない状況が続いています。復興の計画が暗礁に乗り上げているところも少なくありません。そのような中で、被災者の自立支援にむけた実行力とスピードを高めていくことが求められています。 いわて連携復興センター・みやぎ連携復興センター・ふくしま連携復興センターは 震災から丸2年目となる2013年3月11日にこれから取り組んで行かんとすることを 共同宣言の形で発表します。 被災地では、行政だけではなく、『自分たちが地域に果たせることを』との思いから地元のNPO・地域組織・企業など、多くのステークホルダーがさまざまな支援のもと復興に向けて、取り組んでいます。 わたしたちは、これまでの被災地で展開された様々な活動を誇りに思います。 しかし、今まだ遠い復興に向けての道のりを乗り越えて行くために、岩手・宮城・福島の連携復興センターがつながっている意味と価値を最大限生かして、地域の担い手を支え、復興への取り組みをさらに進めて行きたいと考えています。 たとえば、仮設住宅からの移転に伴う、生活支援・生活再建。 たとえば、被災地のまちづくり計画等への住民参加。 たとえば、失ってしまった雇用の場のあるいは新しい起業支援・企業再建。 たとえば、放射線被ばくから住民の健康を守る活動。 これら以外にも今後多様な問題解決の取り組みが必要になると考えられますが、残念ながら、自治体、企業、NPO、地縁組織など、これらの復興に向けた取り組みの担い手は決定的に不足していると言わざるを得ません。 さらに被災地の状況は捉えるテーマによっても多様です。 海と山が近く土地がけっして広いとは言えない三陸海岸の地域。 平野部が広く被災した地域。 福島第一原発事故の被災地域となった地域。 その避難者を受け入れている地域。 これら被災の程度も、置かれている状況も違うなかから 小さな声にも耳を傾け、時には俯瞰から被災地全体の状況を把握し、 今後の支援や復興のための取り組みを進めて行く必要があります。 わたしたちは過去の復興プロセスに学ぶため、神戸や新潟を訪ね、復興に携わった人たちからも話を伺いました。阪神・淡路大震災のときには、復興支援を行う民間団体と兵庫県・神戸市などが同じテーブルにつき、被災の各現場をまわりながら今後の復興について話す場があり、ここでの議論から復興のための施策が決まっていきました。その結果、被災者のニーズに沿った柔軟で効果的な支援メニューが被災地を支えました。新潟中越地震のときには、被災した現場をまわって地域の団体などが復興に向けた議論を行う「中越復興市民会議」が民間主導で立ち上がり、新潟県と緊密に連携を取りながら、復興のための施策に影響を与えていました。 転じて、東日本大震災においてはどうでしょうか。過去の震災と違い、広域災害であることも一因だと思われますが、このような仕組みは未だにありません。これからの復興においても、行政と民間が協働し、真に必要な復興支援事業をつくっていくことが間違いなく必要です。 最近被災地では、復興支援に関わる団体などから「人材不足」という声をよく聞きます。復旧から復興へ向かう道程のはじまりだからこそ、専門性の高い人材、コーディネート力のある人材が求められています。 地域での人材不足は、震災前からのこの地域の課題でもありました。 だからこそわたしたちは、地域をけん引してくれる多様な人材が全国各地から被災地に集まっているこの機会をチャンスと捉えて地域に眠っていた人材(子どもたち、若者、女性、退職後のシニア世代など)を発掘し、それぞれの地域において復興の担い手を育成していくことにチャレンジします。 また、この2年間でわたしたちが得た知識や経験、人的なネットワークをいかし「シンクタンク」のような機関も生み出していきたいと考えています。このシンクタンクと本震災をきっかけとして連携が生まれた国や自治体、企業、大学、多彩なNPO・NGOなどの支援機関とも連携しながら、「機能するネットワーク」を創っていきたいと思います。 これらの取り組みを実現するために、震災を風化させないために、そして復興を加速していくために、行政・企業・地域団体と被災者自身を巻き込んだマルチステークホルダーによる復興のための対話と創造の場を実現することを ここに共同で宣言いたします。