原発ゼロの道 エッセイ

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大間原発を止める希望へと続く道 野村保子

2014.10.17 Fri

夏空の下、大間原発中止の願いをこめて

         大間とわたしたち・未来につながる会  野村保子

 2014年7月19日、20日の二日間、今年で7回目を迎える大間原発反対現地集会と大マグロックが開かれた。

 ライブは弁護士でシンガーの中野宏典弁護士によるオリジナルで、福島原発事故の後に亡くなられた酪農家・菅野重清さんを偲んで作った曲がオープニング。夜は開発センターで中野弁護士と原子力資料情報室の澤井正子氏の2人のトークショー「なぜ私たちは大間原発に反対するのか」が開かれ、110人が参加。

 20日は大間原発建設反対現地集会。函館からの参加者は100人を超え、札幌、弘前、青森、八戸、東京、神奈川などから総勢500人を超えた。参加団体の挨拶の後は風船プロジェクトに参加。原発立地点で風船を飛ばし、拾った方が添付のハガキを送り返すことで風船の流れ、すなわち放射性物質の拡散状況を知るのが目的である。津軽海峡に向って一斉に流した風船には大間原発を止めたい思いが詰まっている。快晴の空、海に向って、大間を止めたい500余人の思いも同時に拡散して欲しいと願う。後日この風船は50キロメーター以上離れた北海道厚沢部町に届いた。

 その後町内へとデモが始まる。マグロック参加者、家族連れなど様々な人々の作るデモは賑やかで和やかムードに終始する。500人規模のデモは珍しい大間町だが、それでも町民の姿は見えない。

大間原発 デモの後、大間巡りで電源開発が運営する「ウイング」に向った。いつも人気のない駐車場が満杯であった。子連れの家族が会場から出てくる。受付に1枚のチラシを見つけた。「Jパワーふれあい広場 特別企画」、午後1時30分より「アナと雪の女王」上映、入場無料とある。先着600名とあるから町内の人たちは早くに来て並んだに違いない。風船計画は午後1時からでまさにデモと同じ時間である。町内に人がいないわけである。

 2013年の我々のデモは500人以上、大マグロックはのべ800人が参加した。この私たちの動きが電源開発をしてイベント企画となったのだろう。町民、特に若い人や子どもに大間原発反対デモを見せたくない人たちが大ヒット上映中のウオルトディズニー映画を持ってきたのだ。ウイングのイベント情報欄には載っておらず秘密裏に企画されたイベントだった。この時期、「アナと雪の女王」は全国大ヒット中で観客数の記録を塗り替えるほどの映画である。大間原発反対の私たちの活動が電源開発の脅威となったのだ。

 2008年大間原発の建設許可が出て、大間町で集会をしようと始まった「大間原発反対現地集会」である。同じく始めたロックコンサートは全国からミュージシャンの集まる大きなコンサートに成長した。大間原発建設工事は、2011年の福島原発事故の影響による工事休止を経て、2012年建設工事は再開し、37%強の進捗率である。全国の再稼動反対の動きや原発反対の運動の空気が大間町に広がるのを怖れたのか、町民を囲い込むような動きが目立つ。

 2014年10月には電源開発の子会社が大間町に風力発電施設の建設すると発表された。またも雇用で町民を縛るのかと暗澹たる思いになる。しかし電源開発に封切り中の映画を上映させ、新たな風力発電所を立てさせるのは大間原発に反対する我々の動きが無視できないほどの力となったことの現れである。一人一人の「大間原発いらない」を大きくしていくことで大間は止まる。驚きが確信に変わった。

 これからも「大間原発いらない」の声をあげつつ、希望へと繋がる道を歩きたい。

カテゴリー:脱原発に向けた動き / 投稿エッセイ

タグ:脱原発 / 原発 / 野村保子