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『バックコーラスの歌姫(ディーバ)たち』 歌とともにある人生の、喜びと哀しみ 中村奈津子

2015.05.22 Fri

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バックコーラスとしてアーティストたちを支える歌姫(ディーバ)たちの、歌とともにある人生の喜びや哀しみを写しとったドキュメンタリー映画。冒頭から、バックコーラスが軽やかに響くルー・リードの”ワイルドサイドを歩け(Walk on the Wild Side)”が流れて、テンションが上がる!

主に登場するのは、ダーレン・ラヴ、メリー・クレイトン、リサ・フィッシャー、タタ・ヴェガ、クラウディア・リニア、ジュディス・ヒルの6名。60年代から90年代の音楽を背景に、彼女たちが駆け抜けてきた色とりどりの人生が、リズミカルに流れていく。個人的には、ローリング・ストーンズの”ギミー・シェルター(Gimme Shelter)”で、あの有名なバックコーラス(曲中、高らかに歌い上げる”Rape, murder! It's just a shot away…”の歌詞が胸を刺す)をつとめた、メリー・クレイトンのエピソードが切なく、胸に残った。

どの人の物語も現在進行形であるはずなのに、強烈な輝きを放った時代の、残影のような切なさや寂しさをまとって映る。けれども、それがやさしさと希望を帯びているのは、監督のまなざしのせいだろうか。あるいは、どのような境遇にあっても、歌うことを肯定していく彼女たちのポジティブさからくるのだろうか。その歌声がわたしたちの心を揺さぶるわけは、彼女たちの多くが、もとは教会の聖歌隊で天賦の歌声を開花させたことと無関係ではないだろう。どの声も、うらやましいほど純粋に、歌う喜びに満ちている。

華やかさを表現した日本語タイトルよりも、原題(『20 Feet From Stardom』)のほうが作品の本質を表していると実感するのが、映画の後半。バックコーラスから、スターまでの距離はたった20フィート(約6メートル)。そのわずかな距離の間に、彼女たちの人生が豊かにあることに気づかされる、得がたい作品となっている。公式ウエブサイトはこちら








カテゴリー:新作映画評・エッセイ / DVD紹介

タグ:ドキュメンタリー / 女とアート / 中村奈津子 / アメリカ映画