2011.05.04 Wed
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『もちろん人生に完成も大団円もない。終わるときにはいつでも中途半端が人生だろう。だが、ゆっくり死ぬ過程で、思い残しのないように謝罪や赦しを告げ、近しい人たちに感謝して別れを告げておけば、「もういつお迎えがきてもいい」という気分になれないだろうか。こういう死に方には、女も男もないことだろう。』(本書P.268)
リアリストの社会学者の上野さんが、ほろりとこんなことを言う。「男性は女性にくらべて・・・」と散々、オヤジという性(さが)を切ったあとに。
世の女性へ「おひとりさまの老後」を、男性へ「男おひとりさま道」を送り届ける。人間をたくさん見てきた研究者の立場で記す「老い」とは?
人生の下り坂で、越えなければならないもの、それは孤独。そしてだれもが越えていく生の延長上にある死。パワーゲームを戦ってきた男性が、弱々しくなって無力になって、ひとりになっていく。おひとりさま耐性は、果たして持ち合わせているだろうか。
だいじょうぶ、ご安心を。本書は、男おひとりさま道という道しるべ。あなたの老後を明るく照らしてくれている。指南を受けたら、さあ実践。いくつになっても人は変われるということを、試してみる。そしてやっぱり最期はおカネ持ちより、人持ち。人生の醍醐味を近しい人と穏やかに分け合おう。
堀 紀美子
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