2011.07.12 Tue
3月に中止となった最終講義に代わる震災復興支援特別公開講演が7/9に実施されました。動画をトップページで配信中です。そちらの感想はまたいずれ。
用意していたのにアップする機会を逸していたブックトーク@高知のご報告です。
WANサイト上ですでにご存じの、『日本のフェミニズム』全12巻完結記念「拡がるブックトーク」、全国各地全12館の女性センターと共催でいよいよスタートしました。理事長うえのと副理事長渋谷典子が弥次喜多コンビで全国を走りまわっています。評判を聞いて、うちでもやってもらえないか、という追加の問い合わせも受けています。各地でWAN説明会や交流会も開催しています。反応は上々です。
日本は広い!東京だけが日本じゃない!地方発信の情報がもっと登場してもよい。この地方での「拡がるブックトーク」の様子は、近く現場を収録した映像を編集して配信する予定です。そのために映像版のWANボランティアスタッフもはりきっています。
第1回は6月12日に静岡で「表現とメディア」、翌13日に静岡県立大学で「グローバリゼーション」、そして6月18日には高知で「リブとフェミニズム」。各地の反応はすこぶるよく、聴衆の質も高いことがわかります。こういう機会が待たれていたのですね。各地のレポートは次々にアップされますのでどうぞサイト上でごらんください。
また朝日カルチャーセンターで同時進行の「日本のフェミニズム」全12回もすでに3回を終了。リピーターの参加者が多く、充実したセミナーの様子は、これもまた参加者レポートで伝わってきます。
ところで全12巻のうち、「リブとフェミニズム」を選んだのは高知県男女共同参画センター、ソーレ。行ってきました。会館の表玄関に大きな看板が立っていました、それも「リブとフェミニズム」と書いて!
うーむ、めずらしいことです。女性センターなのに、リブだのフェミニズムだのと看板をあげられなくなって久しいこのかた、堂々と掲げられた看板に感激して、思わずうえのと渋谷さんが記念撮影した写真をお届けします。
つい先日も某女性センターからの講演依頼で、「フェミニズム」は使わないでほしい、という要請を受けました。もともと女性センターなのに「男女共同参画センター」などと訳のわからない名称をつけるから混乱するのです。「男女」が入っているから、男にも配慮しなければならないのですって。知ってのとおり、「男女共同参画」は、「男女平等」ということばがおキライな当時の自民党政権に遠慮して、女性官僚たちが苦心して考えたどこにもない新造語。英語はgender equalityなんだから、対照反訳したら「男女平等」。憲法にも保障されたこの言葉をつかうか、もともとそう呼ばれていたとおり「女性センター」に戻せばそれでよいのです。政権交代もしたことだし、三角だか四角だかよくわからない行政用語を使うのは、もういいかげん止めたらどうでしょうね?少なくともわたしは「男女共同参画」という理解不可能なことばは使いません。
高知ソーレでは午前中に「リブとフェミニズム」のブックトーク、午後は「女と男のおひとりさま道」。もちろん目玉は後者の方。こちらは350人定員の会場があっというまに満席になり、おことわりまでしたそう。午前のほうは、このテーマでは人が集まらないだろうと50名定員で募集したら、こちらも定員の倍以上応募があり、150人の会場を用意することになりました。
午前中のブックトークに参加したひとのほとんどが午後の講演にも参加。両方に参加した人たちに、「どうお?午前と午後、どちらがよかった?」って尋ねてみました。もちろんわたしは両方とも手を抜いた覚えはありません。
ところがほとんど全員から「午前のほう」って答が返ってきました!メッセージが新鮮で、うえのの生(なま)度が高く、熱かったんですって。実際聴衆の反応はよく、質問もレベルの高いものでした。若い女性の参加者も多かったです。
わたしの方も、こういうテーマで話したいのに、これまでご依頼がなかったのです。このところずっと女性センターからのご依頼はもっぱら「おひとりさま」に集中していました。なぜか?きっと無難だからです。ジェンダーもフェミニズムも関係なさそうに聞こえるからでしょう。そういえば「ジェンダーフリーに触れるかも」という理由でうえのを東京都と国分寺市共催の人権講座事業の講師からおろしたのは、東京都でしたっけ。(注)
もちろんわたしは、ジェンダーやフェミニズムという言葉を使わずに、同じメッセージを送ることはできますが、それにしてもフェミニズムを避けてくれ、という某女性センターのご要望はいったい何なんでしょう?いったい何のためのセンターなのか。
さすが、いごっそうとはちきんの高知!筋を通したひとたちが高知にはいました。
(注)国分寺市事件として知られるバックラッシュに関わる東京都と上野のあいだの対立については近刊の『不惑のフェミニズム』(岩波現代文庫、2011年)を参照してください。
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