2012.08.02 Thu
アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください.「うーむ。」と唸ってしまった。「そうだったのかぁ・・。」女を生きてきて、知らなかった、とは実は言えない。「知らない」というのは、言葉の使い方に問題がある。つまり、無意識のうちに、行動に出てしまっている場合もある、ということである。よく言う「知らず知らず」というもの。
「無意識のうちに行動に出てしまう」なんて聞くと、ちょっとゾッとする。「わたし何か、やらかしたかしら?」なんて、振り返ってみても後の祭りかもしれない。
人間の行動は、どんなものであれ、他人に対するメッセージになっている。行動がメッセージになっているということは、裏返せば、ヒトのしぐさや身ぶりや姿勢に、何かの意味を読みとる人間がいる。ことばに文法があるように、行動にも、「しぐさの文法」がある。
本書は1982年、刊行された。上野さんの活字になったはじめての本である。社会に起こる現象を記号として解読する記号学的な関心、女性学に対する情緒的な関心、そしてメディアと消費社会への関心とが、幸せな交叉をしたところに生まれた記念すべき「処女喪失作」である。しぐさの文法や身体技法に関心が高まりながら、方法上の困難から、研究の蓄積がそれほど多いとは言えない今日においても、本書の価値は減じず、多くの読者に読まれ続けている。
上野さんの記念すべき「処女喪失作」を読み終え、この先の上野千鶴子の仕事が「女たち」へ残したものを思う。いざ、女の読み方・読まれ方・読ませ方の極意へ。
堀 紀美子
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