2014.01.01 Wed
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わたしたちは、この世の終わりに救世主を求めているわけではない。混沌とした時代、出口の見えない社会であっても、なお生き延びていくために、わたしたちは思想を求めているのだ。
上野さんは『本書はわたしが読んできた本、そして力を得た本、それからわたしの血となり肉となった本を選び抜いて論じたものである。』(本文p.296)と言い、その理由は『あなたにも読んでもらいたいから。読み継いでもらいたいから。それだけのねうちのある本だと思うから。』と。
カラカラに乾いた大地だからこそ、沁み渡る一筋の水がある。大地が水を求め、土壌を潤し、種を育て、実りを待つ。そして枯れ去った後も、新しい命としての種がまた芽吹く。わたしたちの命も、そしてその命を支え見守る思想も、綿々とお互いを求めあいながら、息づいている。先を歩く者から、後から来るものへの贈りもののように。その贈りものを受け取った者が生き延び、また、媒介者となって後の世へと思想という名のバトンを手渡す役割を果たしていく。
実を言うと、この本は痛い。なぜなら、思想(ことば)がもつエネルギーがもたらす力を上野さんが思いの丈、書きあげているからである。それらをまともに食らって、感情と思考がシビレる感覚を味わって、さあ、上野さんオススメの本たちを読んでみよう。
堀 紀美子
『<おんな>の思想 私たちは、あなたを忘れない』
集英社
2013年6月発行
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