2011.07.25 Mon
今年度、岩波書店『新編日本のフェミニズム』全12巻刊行を記念して、「拡がるブックトーク」が全国12か所で展開されています。青森県男女共同参画センターでは、第3巻「性役割」をテーマに、オープンカレッジ事業として開催し、当日の会場は、140人を超える参加者の熱気に包まれました。
まず、和光大学現代人間学部教授であり『新編日本のフェミニズム』第3巻の編者、井上輝子さんが「日本の女性学と性役割」と題して基調講演を行いました。女性学に関連する様々な事象や法整備等を年表で確認しながら、『新編日本のフェミニズム』第3巻を使って、日本の性役割についての研究の流れを解説しました。「性役割」が女性学ではキーとなる概念であること、人々の性役割に対する意識と実態にはまだまだズレがあることなどが示されました。
つづく「コーヒーセッション」は、講師、参加者が気軽に語り合える場となりました。青森県男女共同参画センターを拠点として活動する県内の団体・グループのパネルも展示され、会場ではあちらこちらで談笑の輪ができました。また、提供したコーヒーとクッキーの代金として集まった約26,000円は、すべて「東日本大震災女性センターネットワーク基金」に充てられました。
シンポジウムでは、上野千鶴子さんがコーディネーターを務め、井上輝子さん、青森県立保健大学健康科学部教授の佐藤恵子さんとともに、「性役割」についての議論を深めました。「女性を縛る敵は、外にいるのか、内にいるのか」「女と女は、なぜつながることができないのか」など、上野さんが立てる鋭い「問い」に対して、井上さんと佐藤さんが、自らの体験や研究を踏まえて、意見や見解を繰り広げました。
性役割からの脱却を図るために必要なこととして、女性自身が自らの「女意識」と向き合うこと、当事者として声をあげていくこと、自分の経験を客観視して次世代に継承していくこと、女と男の関係性を解放していくこと、関連する諸制度改善に着手すること、など、次々とヒントや提言が示されるたびに、参加者から賛同の拍手や声が沸き起こり、次第に会場全体が熱い一体感に包まれていくようでした。
質疑応答の時間では、今回のオープンカレッジに向けて実施された3回の予習勉強会に参加したメンバーからの発言、「性役割にとらわれない」男子大学生からの発言等があり、双方向性を持った形で全体を締めくくることができました。
★小山内世喜子(青森県男女共同参画センター副館長)★
□アンケートから□
・女性学の基本を学んだ気がします。これからも勉強していきたいと思います。とても良い企画でした。(女性 30代)
・10代・20代・30代・・・50代といくつかの交差点に立ち、自分の選んだ道に迷い立ち止まることがありました。自分の中のもやもやが何だったのか理解できました。(女性 50代)
・私はまだ学生なので、社会の事はほとんど無知なのですが、今回の講演を聞き勉強になりました。私が将来、結婚した時に役立てたいと思いますし、私たちの上の世代の考えなどを受け継いでいきたいと思いました。(女性 20代 学生)
・勉強会を企画したり、佐藤先生がゼミ生を誘ったりなど、事前の取り組みが活きていると感じました。(女性 50代)
・とても興味深い内容でした。来場した皆さんが、とても有意義な時間を過ごしたと思います。今後、高校・大学などで講義などがあれば、若い世代から、結婚後の生活などを深く考えられると思います。(女性 10代)
・ 変わっていないのだなぁというのが、ハッキリわかりました。日頃から、そう感じてはいましたが…。別の意味で、ジェンダーを学ぶということは、全ての社会をみるということにつながるのだなあと思いました。(女性 40代)
・ベティフリーダンの名が出て、ハッとしました。平塚らいちょうに憧れ、独身主義でした。上野さんも20数年前から知っていて、青森に来ると聞いて、行きたいと思いました。楽しかったです。生き生きと生きることが、まわりにも影響を与えると思います。(女性 40代)
カテゴリー:拡がるブックトーク2011
タグ:女性運動 / 本 / 上野千鶴子 / 井上輝子 / 拡がるブックトーク2011 / 性役割 / 青森県男女共同参画センター / 佐藤恵子 / 女意識 / ベティ・フリーダン / 平塚らいちょう
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