2013.03.04 Mon
WAN「アートの窓」でご紹介した壷井明さんが描く「無主物」が、原爆の図丸木美術館に特別展示されています。
壷井さんは福島の人々の声に耳と心を傾け、それを作品に描き加え続けています。

無主物(部分)Ⓒ壷井明 2012年
期間:2013年2月1日(金)~4月14日(日)午前9時~午後5時 (毎週月曜休館)
会場:原爆の図丸木美術館 2階 アートスペース
詳細はこちらからご覧いただけます。
〜原爆の図丸木美術館 webサイトより〜
東京で介護職に就きながら絵画制作を行っている壷井明さんが、「福島原発告訴団」など原発事故の責任を問う活動を応援しながら、福島の人たちから聞いたさまざまな話をもとにして描いた大作を紹介いたします。
《無主物》とは、福島県のゴルフ場の芝生に付着した放射性物質を除去するよう求めた訴えに対し、東京電力側の弁護士が「放射性物質は自分たちのもとから離れた『無主物』である」と言ったことからつけられたタイトル。
幅4mの大画面に描かれた油彩画は、被曝しながら働く福島原発の作業員や、利益を独占する人間との関係性、疎開する人びと、被曝した子どもや動物たちの姿が絵物語のように描かれています。
壷井さんはこの作品を、画廊などの展示スペースではなく、首相官邸前デモのような“路上”で発表してきました。そして、そこで出会った人びとから聞いた話をまた絵画に描き足すという手法を繰り返しています。その活動は「福島原発事故を絵物語のように描いている画家がいる」とインターネット上などで紹介され、現在、静かな注目を集めています。
今展では、絵画作品《無主物》を展示すると同時に、「絵画に描かれたもの」の解説、そして福島や仙台で行われたアクションに持参した拡大複製版の《無主物》などの関連資料を展示し、壷井さんの活動の様子を紹介します。
* * *
WANに掲載された「無主物」の記事はこちらからご覧いただけます。
「無主物」についてWANに寄せられたご感想を紹介します。
○「無主物」、良い作品ですね。このところ私の周囲では、やはり原発事故を告発する作品を多く目にします。それは表現者としてあたりまえで自然なことなのだと思いますが、自分のことを棚に上げ生意気言わせてもらうと、描いてやるぞ!という気持ちだけが空回りしてる感じで、かなり説明的な画面に終始してしまい作家の深い思いが伝わってこないものが目についてしまいます。でも、あの丸木さんの「原爆の図」のすごさは、画面に見える具象を超えたところに、見る者の心がひきつけられますよね。壺井さんの作品もそこに近いものがあると感じます。中学の教壇に立ち、生徒たちにこの作品をみせて鑑賞の授業をしてみたい思いもわきました。ぜひ直接拝見できる機会があればと思いました。(福島県伊達市 M.S.)
○私も「無主物」という物言いに怒りを覚えた一人です。でも、私はその怒りをそのままフェードアウトさせてしまった。壺井さんの絵を見て、改めてアートの持つ力のすごさを感じました。直接心に響いてくる、アートだからこその説得力。「そうだ、私もあのときこんな風に強く怒りを感じていたんだった。」と思い出しました。忘れないでいることは本当に大切です。ただ単に自分の中で終わらせるのではなく、表明することも必要なのだと思います。(東京都 S.S.)
ご感想やメッセージをぜひawan@wan.or.jpまでお寄せください。
(marisu)
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