第27回上野ゼミのお知らせです。

■研究報告 「女性にかけられた呪縛――韓国の女性嫌悪と母性像に現れる女性の他者化――」

■日時:12月13日(日) 午後2時~5時  

■会場: 武蔵野市民文化会館和室(東京都武蔵野市中町3丁目9番11号  TEL:0422-54-8822)

※会場は畳敷きの和室ですので、服装・履物に御配慮ください。

アクセス

施設案内 和室

■報告者:ジョ・ハジョン(早稲田大学大学院アジア太平洋研究科)

■コメンテーター: 飯塚敏昭(神奈川大学経済学部経済学科)

          大石文雄(NPO法人 信愛塾)

■司会:福岡 愛子 (WAN上野ゼミスタッフ、社会学者・翻訳家)

■報告概要
 韓国では1984年に女性差別撤廃条約を批准すると共に、「女性の社会参加拡大のための10大課題」を提示し、新自由主義の中で男性と平等に働くための女性政策を講じた。このような政府の政策に女性運動団体も積極的に参加し、女性の権利は確保されると期待された。そして、2013年に就任した最初の女性大統領は、韓国女性の地位向上を表すものとしても解釈された。しかし、このような社会的な流れは、必ずしも韓国女性の地位向上に繋がったとは言えない。今現在、韓国の女性は「デンザン女・キムチ女」(注1) という女性嫌悪問題に直面しているためである。注目する点は、女性嫌悪が社会問題として取り上げられる一方で、賛美の対象となる女性も存在する矛盾である。賛美の対象になる女性とは、「良妻賢母」と「自らを犠牲にして献身する母親」である。この矛盾を、上野千鶴子は「女性嫌悪のアキレス腱は母」(注2) であると指摘する。つまり、女性嫌悪において母親の存在は致命的な弱点であるが、アキレス腱が機能しなければ歩行出来なくなるように、常に共存している存在である。このような事柄から「デンザン女」が登場した翌年である2007年に、「良妻賢母」の象徴である申師任堂が、韓国の高額紙幣の最初の女性モデルとして選ばれたことは注目に値するものである。
 本報告では、女性嫌悪と母性像に現れる韓国女性への他者化を考察することを目的にする。まず、主にサイバー空間を中心にして拡大している女性嫌悪を分析し、韓国の社会にどのように影響を与えているかを考察することにする。そして、賛美される母親像とはいかなる背景で誕生し、韓国社会に影響しているかを分析することにする。最後に女性嫌悪と母親像は、個人の女性を対象にしたものではなく、二種類の集団として女性を他者化していることを明らかにしたい。このような報告を通して、韓国社会の女性問題への理解を深めたい。

(注1)デンザンは日本語の味噌を意味する。「デンザン=味噌女」は「贅沢と虚栄を好む女性」を意味する。一方「キムチ女」は、韓国の女性全体を嫌悪する表現である。
(注2)上野千鶴子『女嫌い』紀伊國屋書店、2010、42項

■懇親会日時: 12月13日(日) 午後5時30分~7時30分

武蔵野タワーズ・スカイクロスタワー 23階 スカイラウンジ(東京都武蔵野市中町1丁目11-16)


懇親会会場地図

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