セリ摘み

③「野草の春・・・」

3月に入り、庭の梅の木は満開を迎えようとしています。

まだまだ、気温の低い日もありますが、日に日に力強くなる太陽の日差し、風の香り、そして、大地に芽吹いてきた新緑たちが、春の訪れを告げてくれています。
そして、春と言えば・・・、野草の季節!
蕗(ふき)の薹(とう)、セリ、クレソン、野蒜(のびる)、土筆(つくし)、ギシギシやアザミの新芽、タンポポの葉や花、ハコベ、ナズナ、ミツバ、ユキノシタ、よもぎ、スギナ、カラスノエンドウ、等々・・・。
この季節、我が家の食卓には「野草料理」が頻繁に並びます。
・・・なんて言うと、野草の専門家の様ですが、実は、「野草」について詳しいことは殆ど何にも知りません。調理法も、おひたし、天ぷら、佃煮、サラダなどのごく簡単なものばかり。

いろんな野草

数年前から、「野草は体に良いらしい」という認識が一般的に広まり、各地で「野草料理教室」なども開催されていますが、興味はありつつも、なかなか機会がなく、きちんと学んだことはありません。
ましてや、「今日は野草料理をするぞ!」と息巻いて野草摂りに出かけるようなこともなく、畑仕事の合間に傍らに生えてる草を摘み、子どもとお散歩のついでに畔に生えてる草を摘み、台所でご飯の用意をしながら「ちょっと緑の食材が欲しいな~。」と庭に出て草を摘む。といった感じです。
そして、食べてみては、しみじみと「美味しいなぁ~。今日もタダで得したなぁ~」と味わい楽しむ。そんな風に、気軽に野草を生活に取り入れています。

クレソンサラダ


元々、故郷の飛騨地方では「山菜」採りが盛んで、春は様々な山菜を食べる風習がありましたが、こんな風に、その辺の「草」を食べるようになったのは若狭へ移住して来てからです。
庭の畑で野菜を育てよう!と、張り切って種を播いたのですが、数週間してようやく芽が出て、ヒョロヒョロと伸びだしたものの、「食べられるのは、いったい何か月後?」という状況でした。
そんな時、ふっと見ると、畑の隅に青々と勢いよく生い茂っている「草」たちが、ツヤツヤと香りも良くて美味しそうで・・・。思わず、その場で摘んで、パクリ。

 「美味しい!!」

青臭いけれど鮮烈な香りが鼻から頭に抜け、ほろ苦さに身体が目覚めるようでした。
それ以来、畑のお世話の合間に、美味しそうな草を摘んでは、食べてみる。
一応、本やネットで食べれる草を調べたりもしますが、名前が分からない草もあります。それでも、とりあえず、パクッと食べてみて、これはイケる、これは不味い。時々はお腹がゴロゴロ緩くなって、「あの草のせいかな~?」なんてこともあります。
「この野草は○○に効くから」とか「体に良いから」とかよりも、
ただ、ただ、単純に、美味しくて、楽しくて、嬉しくて、身体が喜ぶ。
そんな野草ライフを楽しんでいます。


我が家の畑を見ると、あまりに「雑草」だらけで、びっくりされることがあります。草を食べない方からみたら、確かに「無益で雑多な草」でしょう。でも、私たちにとっては、美味しい「野草」だったりするものもあります。

そんな風に、それまで「価値がない」と思っていたものについて、ちょっと意識が変わり、「有益」なものなんだ、と思えるようになると、草に向ける目線も優しくなり、不思議と、ふんわり心も軽くなるような感じがします。

春の「野草」は、カラダも、ココロも、解きほぐしてくれるのかもしれません。

shima-nobu-hikari★著
http://shimahikari.jp/