電力小売りの全面自由化に合わせて、「自然エネルギーを応援するための賢い電力会社の選び方」と題するシンポジウムが3月27日、福岡市内で開かれた。「ふくおか緑の党」や反原発・環境問題に取り組む市民グループなどが実行委員会を作って主催し、市民約130人が参加した。
 再生可能エネルギーの普及や森林保全などに取り組む国際環境NGO「FoE Japan」(東京)のスタッフ、吉田明子さんが基調講演。「安さだけでなく、どんな社会を作りたいのかという視点で電力会社を選んでほしい」と訴えた。
 「FoE Japan」は、再生可能エネルギーの供給に力を入れる電力会社を市民が選ぶように促す「パワーシフト・キャンペーン」に取り組んでいる。電力会社を選択する際の基準として、「電源構成などの情報をわかりやすく開示している」「原発や火力発電所からの調達はしない」といった5点を提案。そうした視点を持つ電力会社をホームページ(http://power-shift.org/)で紹介している。
 吉田さんは、新たな電力システムが電気を多く使うほど割引率が高い仕組みになっていることについて、「省エネに逆行するのではと危惧している。また、安さがアピールされることで、原発や火力発電の推進につながりかねない」と指摘した。その上で、「自然エネルギーの普及というビジョンを持つ会社をひとり一人が選択し、決定できるように情報提供していきたい」と意気込みを語った。
 シンポジウムには、太陽光発電による電力の地産地消を目指して福岡県みやま市などが設立した新電力会社「みやまスマートエネルギー」と、水力発電の導入に取り組む鹿児島県日置市の新電力「太陽ガス」の担当者も参加し、それぞれの取り組みを報告した。
 「太陽ガス」の新エネルギー推進チームのチーム長、及川斉志さんは、ドイツで電気が自由化された際に自然エネルギーによる電力供給会社を設立した市民を追ったドキュメンタリー映画「シェーナウの想い」(2008年)の翻訳者でもある。上映会向けにDVDを無料で貸し出しているそうだ。「2050年にどんな社会になっていてほしいかということをイメージして、たくさんの市民に応援してほしい」と訴えた。(風子)


 ※及川さんが共同代表を務める「自然エネルギー社会をめざすネットワーク」のDVD貸し出し窓口

http://www.geocities.jp/naturalenergysociety/zennkokashidashimadoguchi.html