③「種はイノチ」
一週間前には満開だった桜もチラチラと散り始め、春が加速して進んでいるようです。
1か月前、満開だった梅の木には、花の散ったあとに、小さな小さな梅の実が付き始めています。
そして、今年も、お米作りがいよいよスタートしました!!
まず、はじまりは、「種」から「苗」を育てます。
苗づくりは、農家さんによって、色々なやり方があるのだと思いますが、基本的には「種籾(たねもみ)」という籾殻(もみがら)のついたお米を「苗床(なえどこ)」という土の入った箱のようなものに播いて、温度や水を管理しながら苗を育てるという方法が現在は一般的な方法です。
苗を育てる「育苗」も、人それぞれですが、我が家の場合は、播種から芽が出るまでの2~3日を育苗器で、芽が出たらハウスに、その後田んぼに並べてさらに数週間育苗し、約1か月後にようやく田植えができます。
この季節は、畑でも春~夏野菜の種蒔きや苗づくりをします。
そして、冬を越した白菜、蕪、大根などの冬野菜たちは、「とう立ち」してしまいます。
薹(とう)とは花を咲かせる茎のことで、薹が伸びることを「とう立ち」といいます。薹が伸びて花が咲くと、種に栄養が行ってしまうので葉が硬くなったり、根菜類に〝す″が入って繊維質になったりして食べられなくなります。
ですが、白菜や蕪などアブラナ科の野菜は、この薹も「菜の花」として美味しく食べられます。
毎日、まいにち、摘んでも、摘んでも、摘んでも、どんどん出てくる菜の花!
有難い一方、そこまでして「種」を残そうとする、その執念!!
いじらしい、野菜たちの姿に、感動を覚えます。
そして、一気に気温が上がり暖かくなってくるのにつれて、田でも畑でも、草たちの成長がものすごい勢いで進みはじめます。
美味しく頂いていた春の摘み草料理も、野蒜や三つ葉など、相変わらず、ぼちぼち楽しんでいるものもありますが、カラスノエンドウやハコベ、ギシギシ、タンポポ、などは、あまりの勢いで成長し、畑を覆い尽くすので、鎌でせっせと刈り取らせてもらいます。
刈っても、刈っても、刈っても、刈っても、・・・。
次々に生えてくる草たち。
お米や野菜のように、人間が種を播いて育ててあげなくても、勝手に生えてくる草たち。
勝手に生えてきているように思えますが、
火のない所に煙は立たず。
種のない所に命は育たず。
草たち自身が、自ら種を播いている。・・・それだけのこと。
わざわざ、種を保管したり、消毒したり、温度や水の管理をしてあげなくても、
最も適した時期に、ちゃんと芽を出し、育っていく。
野菜がうまく育たなくて落ち込んだ時、傍らでイキイキとしている草たちを見て、あっ晴れと敬服したい気持ちになることもあります。
「種」は、イノチを生み出し、育て、また種をつけ、子孫を繋いでいく。
そんな、だいじな、だいじな「種」のこと。みなさんは考えたことがあるでしょうか?
今、全国や全世界で『種を守ろう』という動きが活発化しています。
「種」を何から守るのでしょう??
あまり、難しいことは私も、よく分かっていません。
が、日々、田や畑のお米や野菜、草木や土と関わっていると、
なんとなく不自然なこと、なんとなくおかしいな、と思うことがあります。
「種」はだれのものなのでしょう??
もしも、「種」を外国もしくは、社会の一部の権力に支配され、自分で採種することができなくなってしまったら、どうなるのでしょう?
「種」がなければ、お米も野菜も育てることができないのです。
そして、本来あるべき、“子孫を残す能力”をはじめから持っていない植物の「種」がある(というか、ほとんど)なのをご存知でしょうか?
種のことについて、興味のある方は、ぜひ、わかりやすくまとめられているこちらのブログをご覧ください。
また、全国でも珍しい固定種の種屋さん、
「野口種苗」さんのサイトもおすすめです。
今年、わが家の畑では、幸いなことに、知り合いの自然農家さんから頂いた固定種や在来種の野菜や雑穀の種を播くことができそうです。
その農家さんが、大切に大切に育て、手間をかけて採取してくださった
「種」。
今まで以上に、大切にたいせつに育てたいな、という気持ちと共に、
今度は、私が、しっかり育てて、種を採り、
また、つぎのイノチへと繋いでいかなければ、と、
身が引き締まる思いの、今年の春のスタートです。
shima-nobu-hikari★著
http://shimahikari.jp/