講師の加納実紀代さん
和光GF読書会では、2016年4月23日(土)和光大学ジェンダーフォーラムにおいて、加納実紀代さんを講師にお迎えし、公開ブックトーク「高群逸枝と母性主義」を開催しました。
その様子を報告します。
【テーマ】
井上輝子・和光大学名誉教授が主催する当読書会では、昨年度、高群逸枝『火の国の女の日記』の輪読によって、高群の私生活のありようを読み取り、ディスカッションしてきました。その成果を発展させるためにも、今回のブックトークでは、高群の思想部分に焦点を当てることを目的としました。
【講師】
講師の加納実紀代さんは、『自我の彼方へ―近代を超えるフェミニズム』(1990)、「高群逸枝―その皇国史観をめぐって」(『女たちの銃後増補新版』1995所収)、など高群逸枝に関して多くを著してこられた方で、『ヒロシマとフクシマのあいだ』(2013)でも「母性主義とナショナリズム」に言及されています。ブックトークでは、高群の思想的な部分に加えて、これまでのご研究の成果に沿って、現在の社会状況と母性主義との関連等について、お話いただきました。
ブックトークの様子
【当日の様子】
読書会メンバーに加えて、関心をもつ一般市民の方々や隣接領域の研究者の方々の参加を得て、それぞれの立場からの質問や意見交換をしました。そうするうちに、予定時間をオーバーしてしまい、それでもまだ話し足りないという、主催者としては大変ありがたい感想の聞かれた会でした。
【感想】
読書会メンバーの一人、関知恵子さんの感想をご紹介します。
「アナキストとして、女性解放論者として体制批判をしていた高群が、なぜ翼賛体制への積極的な加担を行ったかを、わかりやすく整理されたレジュメと貴重な戦前の新聞資料等をもとに解説していただきました。高群の「母性主義」や「皇国史観」、1970年代の高群ブームとその後の凋落など興味深いお話を伺い、読書会では混沌としていた高群の姿がすっきりと立ち現れてきました。加納さんが提起された「新自由主義のもと、自己責任が問われ格差が拡大する現状において、高群の母性主義からくみとるべきものは?」との問いは、今後の
私たちの課題となりました」。
(写真撮影:足立加勇(和光GF読者会メンバー))
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