監督も知らない、役者も知らない。
ひと足先に試写会で、観て感じたまんまをいけしゃぁしゃぁと映画評。
筆/さそ りさ
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イングリッド・バーグマン 愛に生きた女優
ひと一人の人生は、運命、偶然、選択によって決まるという考え方がある。
運命、偶然は、自らの意志をもって変えることはできない。対して選択は自らの行為であり、この選択こそ生まれもった権利であるという。
人生は、運命や偶然に身を委ねる方が楽かもしれない。それでも自ら選択する方が人間を人間足らしめるというのだ。
イングリッドの運命はといえば、1915年、ストックホルムに生まれ、父が写真家であったこと。
幼い時にその父をはじめ次々に肉親を失うという定め。このことは、後々の「選択」に少なからぬ影響を及ぼす。
そして、偶然の出合いや出来事により左右された彼女の人生。
しかし、彼女は自分らしく生きるために、3度の結婚と5つの国に移り住むことを「選択」した。
そこには、困難や非難が待ち構えていたに違いないが、後悔することなどしない。
前へ、先へと進む彼女の姿は、このドキュメンタリーを観る者に、「選択」する人生の意義と尊さを実感させるだろう。
作品は、イングリッドが10歳の時から綴り続けた日記、親友へあてた手紙、4人の実子の毋への思い、関係者たちへの新たなインタビューなどを素に構成。
映像は、彼女が撮影した写真(父への思いから彼女も自ら撮影することを望み、肌身放さずカメラを持ち歩いていた)、膨大な量のホームムービー、出演作品などで編集され、
彼女の内気な一面、子どもたちと戯れる母親の素顔までも描き出し誠実に仕上げられている。
ところで、……キャリアと家庭を両立させながら一人の女性として輝く彼女の生き方は、現代女性たちの道しるべになるだろう……
とパンフレットに記されているが、果たして、劇場に足を運ぶという「選択」は、これからの人生に変化をもたらすことになるのか。
ちなみに、イングリッドが亡くなった日は、その67年前の誕生日と同じ8月29日である。運命の物語もミステリアスだ。
2016.7.22試写
2016年8月27日(土)Bunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー

©Mantaray Film AB. All rights reserved.Photo: The Harry Ransom Center, Austin
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