監督も知らない、役者も知らない。
ひと足先に試写会で、観て感じたまんまをいけしゃぁしゃぁと映画評。
筆/さそ りさ
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男と女
―製作50周年記念デジタル・リマスター版
もう半世紀もの歳月が過ぎてしまったようだ。
最初の公開は、1966年(昭和41年)5月。監督のクロード・ルルーシュは29歳の若さだった。
制作費は少額で照明スタッフを雇うことができず、車内で語り合う二人のシーンは、俳優自らがライトを持ち撮影したという。
パリから150キロ離れた寄宿舎に娘を預ける「女」。同様に息子を預けるレーサーの「男」。
「女」は、パリヘ帰る電車に乗り遅れてしまう。そこに「男」が出合わせ、「女」は「男」の車でパリへ向かうことに。
ストーリーは、淡々と流れ出す。そして、二人の微妙な思いをさりげなく描写し、
やがて“泥沼の自由か、カゴの中の幸福か”いずれを求めるのか「男」と「女」に迫る。
映像の静と動、雨や風の音へのデリケートな配慮はまるでポエムの世界だ。
フランシス・レイのサウンドトラックも、流れ出すタイミングと
大きなスクリーンと相まってこその♪ダバダバダ~♪で、そうなるとハートは、もう作品に鷲づかみされっ放し。
あの時、この作品と出合い異性への思いをめぐらせたという人は少なくあるまい。
知らぬ間に時は流れた。年齢を重ねた。思いや求めるものは、どう変わったのか、変わらないのか、
いま、あらためて観て、同じようにハートは揺れ動くのか。
初めて観るという人は、50年前の「男と女」の揺らぎをどう受け入れるのだろう。
古い価値観としか受け入れてしまわないだろうか。
作品は、デジタル化で鮮やかに甦った。
いつの世も、男も女も本質は変わらない。
そう、いまもって変わらないときめくハートを持ち合わせているか、この作品で試してみるのも勇気のいる一策だ。
*ルルーシュ監督の幻の短編、『ランデヴー』を同時上映。
夜明けのパリ市内をフェラーリで8分48秒、ノンストップで疾走する無謀なドキュメンタリー。
2016.8.26試写
2016年10月15日(土)YEBISU GARDEN CINEMAほか、9都市公開 名古屋/名演小劇場
■クレジット: c1966 Les Films 13
■公式サイト:http://otokotoonna2016.com/
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