
人はなぜ不倫をするのか
亀山早苗 著
SBクリエイティブ株式会社
2016年8月 発行
「人はなぜ不倫をするのか」種明かしはできない。この問いに興味がある方は、ぜひご自身で読んでもらいたい。ひとつ言えることは、不倫はするもの、ということ。人が「結婚」していることで、人として、突発的に揺れ始める心を制御できる術を持ち合わせてはいない。恋心は揺れたまま相手へとなだれ落ちていく。だれも止めることはできない。
上野さんは第1章「ジェンダー研究から不倫を考える 人はなぜ不倫をしないのか」
のっけから仰け反りかえる。そうきますか、上野さん。タイトルの逆を行く。
「人はなぜ不倫をしないのかのほうが不思議です。その前段階として、人はなぜ結婚という守れない約束をするのか、がもっと不思議」(本文p.13)
結婚は、互いを縛り合うような契約。「男女関係において、権利と義務の関係をつくっても何の保障にもならないと思いますから。」(本文p.24)
種明かしはできないと最初に言ったが、「不倫なんて私、するはずがない」とか、「不倫するなんて許せない」とか、断固とした不倫を否定する気持ちを、今の状況で持っている方は少々、お気を付けていただきたい。
読めば読むほど、昆虫学や動物行動学、宗教学に行動遺伝学など学術的な立場から考える不倫の理由に、耳をふさぎたくなるかもしれない。抗っても抗いきれない。上野さんのように「不思議です」と思い切って言ってみれば、状況は変化の兆しを見せるのかも。最終章の第8章は、『脳から不倫を考える すべては「脳のバグ」である』ここまでくれば、今まで知らなかった知識を引き寄せた自分にハッと気づく。読めばわかる。この本による見聞は、とにかくすごい。
堀 紀美子
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