雑誌『あごら』は、女の情報誌として1972年2月に創刊され、2012年9月の335号まで、40年間発行を続けました。全国の会員が誌上で情報を交換し、共有しながら活動に繋げてきました。地方では読者が拠点を立ち上げ、東京一極集中ではない双方向発信の雑誌となりました。
創刊の70年代からおよそ30年は「女の時代」とも呼ばれ、〈あごら〉をはじめ数多くのグループが女性の自立と解放を目指して声を挙げ、地道な努力を積み重ねてきました。「国連婦人の十年」に後押しされた世界規模のうねりでもありました。『あごら』は5回の世界女性会議すべてに参加し、ワークショップを主催するとともに、政府間会議と民間会議の記録を残しています。
しかし、現在の日本は行政主導の男女共同参画にからめとられ、生命の尊重と共生の論理を基調とするフェミニズムとは、異質な方向に変えられた感があります。性別役割分業は制度にも意識にも根深く残り、女性は厳しい状況に置かれたままです。さらに、人権意識の希薄さと右傾化が連動し、全体主義が蔓延していることに危機感を覚えます。
私たちは、今こそ『あごら』に込められた女性の視点によるヒューマニズムが必要であると考え、『あごら―雑誌でつないだフェミニズム』(三巻本)の制作を計画いたしました。
第一巻、第二巻には、人生をかけて『あごら』を主宰してきた斎藤千代さんの呼びかけと主張を再掲しました。第三巻は、雑誌を媒体として広がったネットワーク、女のひろば〈あごら〉の活動を誌面から引用して、女たちの熱い思いを『あごら』に語らせました。
世界のいたるところで内戦やテロが続き、人々を苦しめる争いが絶えません。『あごら』に込められた示唆を、地球の未来に向けた一条の光として読み取ってくださることを願っております。
あごら九州 福田・森崎・三好
定価:各2500円+税
ご注文は 石風社までhttp://sekifusha.com/
wanミニコミ図書館に、『あごら』のバックナンバーが保存されており、ダウンロードも可能となっています。
2016.12.17 Sat
カテゴリー:著者・編集者からの紹介
タグ:本