
私たち三人は、城西国際大学大学院人文科学研究科博士後期課程比較ジェンダー論研究指導で、水田宗子先生のご指導を受けています。全員が本年度の学位授与を目指して、論文提出を計画しています。ところが、本年度が始まって以降の4月3日に、大学側は、突然水田先生の指導の中止を決定し、私たちの研究計画は頓挫してしまいました。
しかも中止決定にあたって、大学側から私たちへのすみやかな通知はありませんでした。その後、私たちの水田先生の授業再開を再三にわたって嘆願していますが、それは一貫して無視されています。
ご支援ありがとうございます。
すでに、この件について私たちはWANのサイトに声明文を掲載させていただいています。また、声明文でご紹介している署名サイトではたくさんの方々にご署名いただき、さらに会員の一部の皆さまには、私たちの窮状を心配してカンパしていただくなど、多大なご支援を頂いております。皆さまには、この場をお借りして深く御礼申し上げます。
今回の投稿は、先の声明文の続報として、私たちの状況をお知らせするものです。
私たちは大学の経営上の問題に巻き込まれています。
本日現在、大学側は水田先生の指導再開について、さらに私たちの処遇について、依然強硬な姿勢を崩していません。この背景には、私たちの処遇が大学内部の問題であるだけでなく、それを超えて、大学の経営母体である学校法人城西大学の経営問題と直結してしまっているという問題が存在しています。私たちには経営の事情は分からないながらも、昨年11月30日の理事会における理事長解任の緊急動議によって、水田先生が理事長の職を降りられてから、先生が大学から排除されようとしているように感じられます。4月19日には水田先生が不正な会計処理に関わった可能性があるという記者会見が開かれ、大学側はその可能性を理由に水田先生の私たちへの指導を認めていません。
一方水田先生は、5月19日に記者会見を行い、大学側の一方的なそのような態度に対して全面的に反論し、名誉棄損の裁判を起こされたことを発表されています。
各人の論文提出計画に深刻な支障が生じています。
私たち三人は、それぞれ大学院での在籍状況が異なります。私たち三人の中で、現在大学院に在籍しているのは留学生でもある一名だけです。この一名を以後「学生A」と呼びます。学生Aは、中国における現職の大学教員です。これまで学生Aは、現職の大学の理解を得て城西国際大学大学院に留学し、教職員の皆さまのご協力のもとに自分も刻苦精励して水田先生の指導を受けてきました。ところが、本件をきっかけとしてその境遇は変わってしまいました。学生Aは本年6月に論文を提出し、学位の審査を受けることを計画していますが、この計画がうまくいかないと、現職に極めて深刻な影響が出る恐れがあり、それを大変心配しています。
また、私たちが所属している博士後期課程では、単位取得満期退学という制度をとっています。残り二名は、この満期退学者です。満期退学をした者が研究を継続して、学位授与のための論文の審査を受けるための方法の一つとして、城西国際大学大学院では満期退学者が再入学をした上で論文を提出するという制度を採用しています。満期退学者のうち一名は、6月の論文提出を計画して、本年3月21日付で再入学の申請を行っています。この一名を以後「学生B」と呼びます。しかし、6月15日現在、学生Bに再入学の可否は通知されていません。
もう一人の満期退学者である「学生C」は、12月における論文提出を予定しています。学生Bと学生Cは、満期退学後も一貫して水田先生のご指導の下で研究を続けてきました。この二人は、果たして自分たちが同大学院に論文を提出して、公正に学位の審査を受けることができるのか、非常に不安になっています。
これまでの交渉の経緯で、大学側は私たちの学位授与に対する責任を認め、支援することを表明するに至りました。しかし、その具体的な内容は、6月に論文提出を予定している学生Aと学生Bに対して、約一か月の放置の後に、一方的に学生Aに対して新指導教員を、学生Bに対して新指導教員と新審査員を決定した旨を通知するというものでした。そして、新指導教員及び新審査員と通知された先生方は、水田先生と私たちの共通の専門分野である、比較ジェンダー論・女性学・フェミニズム批評の専門外の方々だったのです。
論文提出を間近に控えたこの時期に、突然自分たちの専門外の先生からのご指導と論文審査を受けるということは、これまで私たちが長年取り組んできた論文の内容を否定されるに等しいものです。今や私たちは比較ジェンダー論・女性学・フェミニズム批評という自分達の専門分野を否定されているのではないか、計画通りに論文提出と審査を受けることが不可能になるのではないかと大変危惧しています。
女性学を専門に学べる高等教育の場が存続の危機にさらされています。
大学院博士後期課程における比較ジェンダー論研究指導のカリキュラムは、水田先生が主導されて設置されたものです。水田先生は、城西国際大学に、日本国内でも稀少な女性学を専門に学べる高等教育の場を作り上げてこられました。しかし、今、水田先生のこのような学問上の功労は消去されようとしているように見えます。水田先生は、同大学のジェンダー・女性学研究所の名誉所長であるはずでしたが、先生の授業中止と前後して、同研究所のホームページからは名誉所長の挨拶が消され、所属研究員のページも工事中になってしまっています。今や私たちは、自分たちの論文の専門性が否定され、母校の研究の場が取り上げられてしまうのではないかと非常に心配しています。
私たちを指導すると通知された先生方が事情をご存じないことを懸念しています。
果たして水田先生の学問上の功績を消去することなど可能なのでしょうか。(水田先生をご支援してくださる知識人の皆さまが、WANのサイトに声明文を掲載されています。
私たちの新しい指導教員や審査員と通知された先生方は、それぞれのご専門の分野でご活躍されている先生方です。学生Aと学生Bの新しい指導教員と通知されたD先生、E先生は、これまで城西国際大学で水田先生と親しく力を合わせて学生の指導をされてきた先生方です。また、学生Bの審査員とされたF先生は学外の方ですが、水田先生の専門分野とも重なる比較文学の世界で、大変ご活躍されている先生ですので、水田先生の業績を必ずご存じでいらっしゃることと思います。
もし水田先生と私たちと大学側とのこの経緯をご存じでいらっしゃれば、D先生、E先生、F先生は、きっと新指導員や審査員をお引き受けにはならなかったはずだと、私たちは心を痛めています。どうか、三人の先生方に私たちのこの気持ちが届くように祈っています。
今後ともよろしくお願いいたします。
水田先生は記者会見で、私たちへの指導権の保全を申し立ててくださっていることを明らかにされました。私たちが水田先生のご指導を継続して受けることができるよう、また、私たちの博士論文提出計画が成功するよう、皆さまに引き続き事態の推移を見守っていただけることが、私たちにとって大変励みになります。つきましてはこれまでのご支援への御礼かたがた、ここに現況を記させていただきました。今度ともよろしくお願い申し上げます。
2017年6月15日
城西国際大学大学院水田ゼミ生一同
慰安婦
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