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新自由主義はもはや民主主義の土台まで侵食している。これが本書の主張です。そのことが体感できる状況になってきたのではないでしょうか。
新自由主義は「人的資源」「投資」「ガバナンス」などの言葉で人びとを動かしますが、その目的はじつは経済ではなく、人びとの行動原理を変えることだ、と著者ブラウンは指摘します。
あらゆる人間活動を経済の言葉に置き換えることで、人びとの意識や行動そのものを変え、全体をスムーズに作り変えることができる。その結果民主主義を支える土台がいつのまにか空洞化する。そのメカニズムを本書はまざまざと見せてくれます。
これをジェンダーの視点から考えると、「男女平等」ではなく「女性活躍」が目標とされたとき何が起きるのか、という話でもあるでしょう。また、新自由主義においてジェンダー役割は変わるのか、という案外難しい問いに答えているのが本書の隠れたポイントです。ぜひご一読をおすすめします。(みすず書房編集部・鈴木英果)