イギリスの大学院で歴史学を専攻していた私。平日は授業に出て、週末はロンドンに出かけ、学期末は課題に追われる日々を過ごしていました。単位を取得するためには、膨大な数の文献を読み、エッセイを提出して合格することが必要です。
特に、学部よりも授業数が少なく、いかに自主学習の時間を効率的に過ごすかが、有意義な大学院生活を過ごす上で非常に重要な鍵となります。そんな大学院生活の中で欠かせない存在が、静寂な空間で勉学に励むための図書館でした。今回は研究活動でお世話になった、資料の所蔵数で世界最大規模を誇るイギリスの国立図書館、大英図書館をご紹介します。

まずは、最寄り駅からスタートしましょう。映画ハリーポッターシリーズに登場しそうなこの建物はセント・パンクラス駅。ロンドンとフランスのパリやベルギーのブリュッセルを結ぶユーロスターの発着駅です。すぐ隣にあるキングス・クロス駅には、ハリーポッターに登場する9と3/4番線を模した写真撮影スポットがあります。ギフトショップも併設されており、ハリポタファンには欠かせない場所です。
駅から数分歩くと、大英図書館の建物が見えてきます。元々は、大英博物館の図書館部でしたが、1973年に他の図書館と合体し、1998年に現在の建物へ移りました。図書館と聞くと堅苦しいイメージがあるかもしれませんが、館内にはカフェや展示室、ギフトショップが併設されています。大英博物館など主要な観光地にも近く、利便性も抜群です。
今年の10月には、「ハリーポッターと賢者の石」出版20周年を記念して、「Harry Potter: A History of Magic」と題した展示イベントが始まるそうです。資料を探す用事がなくても、気軽に入館出来ますよ。

建物に入ると、“The King’s Library Tower” が訪問客を迎えてくれます。18世紀半ばから19世紀始めに君臨した国王ジョージ3世によって集められた本が、床から天井までぎっしりと積まれている光景は、まさに圧巻です!

このコレクションは15世紀中頃から19世紀初頭にかけてイギリス、ヨーロッパ、北米で印刷された65,000冊の本と19,000のパンフレットから成るそうです。大英図書館には多くの貴重な資料が所蔵されており、“The Sir John Ritblat Treasures Gallery”には、なんとマグナ・カルタやレオナルド・ダ・ヴィンチのノート、ビートルズの手書きの歌詞などが展示されています。

館内のレストランでは、イギリスらしい食事を楽しむことができます。日本とは異なり、イギリスではメイン料理に付け合わせが添えてあるとは限りません。サイドディッシュを2種類選択できるセットメニューを注文すると、ご覧のようにメインとなるキノコのパイの横にたくさん野菜を盛ってもらえました。
右上のケーキは、イギリス伝統のキャロット・ケーキ。ほろほろと崩れるスポンジの食感やスパイスが効いた独特の風味が癖になります!
さて、肝心のReading Room(読書室)へ入るためには、事前にReader Passの登録が必要となり、荷物の持込み制限や検査が行われるなど、かなり厳重に文献が保護されています。その分、とても神聖な気持ちでイギリスの歴史を語る資料を直接手に取れる喜びを感じることができます。
館内の椅子に座り、黙々と読書や勉強に励む研究者や学生の姿にも励まされました。日本にもあったらいいのに、としばしば思った場所の一つです。
(つづく)
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