バクバクっ子の在宅記: 人工呼吸器をつけて保育園から自立生活へ

著者:平本 歩

現代書館( 2017-08-12 )


 ミトコンドリア筋症という先天性難病で、生後半年で人工呼吸器をつけ、4歳の時にまだ在宅呼吸器療法等の制度が何もない中、「病院はイヤ」という意思で親を突き動かして在宅生活を実現。以来、人工呼吸器をつけた子(バクバクっ子)の在宅生活の草分けとして、保育園・小・中・高校(普通学校)で学び、親許を離れて介助者との自立生活の道を切り開いてきた著者の半生記。
歩さんが在宅生活を始めた1990年代と違い、今は人工呼吸器をつけていても治療の必要がなければ、2,3カ月で退院できるが、多くの子は病院・施設暮らしか、在宅でも特別支援学校など限られた環境の中で育ち、かつ親の付き添いが義務付けられている。学校生活でも日常生活(登山、スキーまで)でも、呼吸器を付けていても普通の子と同じように様々な体験をしながら育ち、親から独立して暮らせる。もっと多くのバクバクっ子が一人の子どもとして豊かに成長できるよう、自らの体験を分かち合うために書かれた本。
「バクバク」とは、手動式人工呼吸器の通称。親がありったけの愛情をこめて手動で空気を送り込む時「バクッ、バクッ」と音がすることから、呼吸器をつけた子を「バクバクっ子」と呼んでいる。歩さんの在宅生活開始を機にできた「人工呼吸器をつけた子の親の会」は、現在、成長した当事者と親の会となり、「バクバクの会」と名称変更している。