記念すべき20回目の記事となりましたが、残念なお知らせがあります…
今回でわたしの留学日記は最終回を迎えます。
書き足りないことがまだまだたくさんあるのですが、撮りためた写真が底をついてしまい…
次回渡英した際に、この続きを再開できたらと思います。

最終回は、一年間通った大学院の修了式で締めくくります。
以前から大学院生活のことを書きたいなと思っていましたが、
授業がある時以外は部屋や図書館に引きこもり、
ひたすら本を読みながらエッセイを書いていた記憶しか残っておらず…
キャンパスで一番お世話になったのは間違いなく、図書館でしょう。
私が通っていた歴史学研究科の修了要件は、
学期末に出すエッセイと、年度末に提出する修士論文のみ。
中間発表や試験はなく、ひたすら英語で文章を書き続ける日々でした。
イギリスの大学図書館は夜遅くまで開いており、中には24時間開館している所もあります。
日本の図書館も、もう少し長く開いていたらいいのに、と時々思ったり。

9月に修士論文を提出し、11月に修了が確定した後、12月にようやく修了式がありました。
日本の大学では代表者が卒業証書を受け取るのが一般的ですが、
私の大学では一人一人が学長(らしき方)から卒業証書(もどき)を手渡ししていただきました。
最後にクラスメートとガウン姿で帽子を高く投げ放った時には、
憧れの海外大学生活が送れたことを実感でき、とても感動しました!

式が終わった後は、思い出の場所で写真をパチリ。
教会ピクチャー・ギャラリーなど、美しい室内装飾が施された施設は、どこもお気に入りの場所でした。
校舎の美しさに一目惚れしてこの大学への入学を決めましたが、
このキャンパスともお別れかと思ったら、とても寂しくなりました…。

そして最後は、中庭に立つヴィクトリア女王の彫像と一緒に。
この時は、帰国後に研究を続けていくのかどうか、まだ迷いがありました。
しかし、現在もかろうじて研究を続けられているのは、
この大学で苦労しながらもヴィクトリア朝研究の面白さや、純粋に学ぶことの楽しさを味わうことができたからです。


帰国後はしばらく、辛い時期が続きました。
再び日本社会に「適応」しなければならない苦労を味わうなんて、
留学前には全く想像していなかったからです。
交通機関が混雑している上に乗客同士が会話をしない
(電車やバスで近くに座った人とする自然な会話が、イギリス生活でのちょっとした楽しみでした)といったことから、
テレビ番組が食べ物のことばかり、
お店でのサービスが過剰で形式的過ぎると感じてしまったり…
日本人であるはずなのに、そうではなくなってしまったような、
まさに逆カルチャーショックの状態でした。

就職活動の際もそうでした。
「留学して何をしてきたの?」「この年齢でどうするの?」「結婚はしないの?」「飲み会の手配は得意?」。
欧米社会ではあり得ないような面接での質問に、愕然とした記憶があります。
しかし、こんなことでへこたれない心を手に入れられたのが、
まさに留学生活のたまものだなと、今となっては思えます。

現在はご縁があって教育現場で働いており、新たな目標を見つけました。
狭くて一様な日本という国から飛び出し、様々な価値観に触れたいと願う学生を支援することです。
それは、歴史学・ジェンダー学という、
一見異文化交流とはかけ離れた分野を学んだ私には縁遠い話のように聞こえますが、
どんな形であれ、夢を持った学生を手助けできるということを、
これまでイギリスや日本で出会った方々から教えていただきました。

自分の人生を豊かにするためには、まず行動。
イギリスでの留学生活が教えてくれたことです。

これまで読んでくださった皆さま、本当にありがとうございました。(おわり)
■ Megure Yui ■