「ディーセント・ワーク
(働きがいのある人間らしい仕事)」について学び、
社会で実現していくための取り組みを考える講座が
11月25日、盛岡市のいわて県民情報センター(アイーナ)で開かれた。
チーム=ディーセントワーク、認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)の主催。県内外から女性約20人が参加し、意識を高めた。
ディーセント・ワークは1999年にILO(国際労働機関)が活動理念として提唱した考え方。NPO法人参画プラネット代表理事、WAN副理事長の渋谷典子さん(名古屋市)が講演し、①働く機会があり、持続可能な生計に足る収入が得られる②労働三権など働く上での権利が確保され、職場で発言しやすく、それが認められる③家庭生活と職業生活が両立でき、安全な職場環境や雇用保険、医療・年金制度などのセーフティネットが確保され、自己の鍛錬もできる④公正な扱い、男女平等な扱いを受ける―といったディーセント・ワークの概念を解説した。
このあと、ディーセント・ワークを社会で実現するための24の課題を基に、グループに分かれて議論。権利主体が自分であることを学ぶ場の充実や、ブラック企業のモノ・サービスを買わない消費行動、時間の使い方に自分自身が決定権を持つ「時間主権」の重要性など、問題解決の取り組みについて話し合った。
過労死の危険にさらされながら一家の「大黒柱」として働く姿勢や、子育て・家事は女性がするといった古典的な価値観を問い直していく必要性も再確認した。
講座に参加した一関市千厩町の小山千春さん(25)は「公務員で労働環境は整っているが、残業を申請するのも遠慮があり持ち帰り仕事が増えてしまう。ディーセント・ワークは初めて聞く概念。まずは知ることから始めたい」と話した。
労働法やジェンダー政策に詳しい渋谷さんは「『働くこと』は個人的なものではなく社会的な問題。働くことを人生の中でどう位置付けるのか。社会全体で考える場を提供し、創り上げていく時代」と力を込める。