■ワインだけじゃない!ビールも美味しいチリ

早いもので1月も終わりかけていますが、「南米チリのご当地お土産ガイド」、今年もサンティアゴからオススメの特産品を紹介していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

さて、2018年第1回目のお土産ガイドで取り上げるのはビールです。
チリといえばもちろんワインが有名ですが、実はビールづくりも盛んです。

その源流はドイツ系移民。
19世紀半ばころから南部の地方に入植したドイツ系移民たちが、ビールの製造を開始しました。
以降、南部を中心に伝統的なセルベセリア(ブルワリー)がセルベッサ(ビール)をつくり続けています(※)。

チリのドイツビールといえばクンストマン Kunstmann。
その歴史は1850年に入植した最初のドイツ系移民が、翌年(!)1851年に設立したビール会社にまで遡ります。この仕事の速さに、ドイツ人のビールにかける熱意を感じますね。
チリ南部湖水地方の都市バルディビアに本社をもっていますが、サンティアゴにも直営のビヤホールがあります。

くわえて近年はCervezas Artesanales(クラフトビール)ブームらしく、小規模なビール工房(ミクロセルベセリア)から個性的なビールがでています。
これらのビールは少々お高め。330 cc瓶で1500~2000ペソ(274~365円)前後です。
サンティアゴ市内のスーパーマーケットでは、移民のこだわりを感じる伝統的なものからちょっと変わったフレーバー、季節限定モノなど、さまざまなビールを購入できます。

(写真左)海賊が目印のバルパライソのビール。この湾岸都市ではイギリス系・アイルランド系の移民がビールづくりをはじめたそう。
(写真右)パタゴニア地方のビール。思わず“パケ買い”してしまったポップなデザインです。

■世界最南端のビール工房・アウストラルのカラファテエール

さて、このような正統派なビールも美味しいですが、今回は変わり種をご紹介します。
アウストラルAustralのカラファテエールです。

「南方の」「南半球の」という意味のアウストラル。南極観光の拠点でもあるプンタ・アレーナスにある、その名の通り世界最南端のブルワリーです。1896年、ドイツのビール職人が入植者向けに創めたビール工房がルーツになっています。
カラファテエールは、パタゴニア地方に自生するワイルドベリー・カラファテ風味のフレーバービールです。
パタゴニア特有のこのベリーには、旅人がカラファテの実を食べるとまたこの地に戻ってくる、という言い伝えがあります。

ちなみに私が2010年にパタゴニアを旅行した際にも、このカラファテエールを飲み、カラファテを使ったアイスを食べましたが、チリに住むことになったのはそのせいなのか??

ちょっと見えにくいですが、瓶の首の部分はパタゴニア地方の古地図をモチーフにした、異国情緒を感じるデザインです。

エールビールらしいフルーティーな香りに、ほんのりとカラファテのベリーの風味が混ざります。
ビール党には物足りないかもしれませんが、軽い飲み口で、ビールが苦手な方にもおすすめ。

一日のうちに四季が巡るといわれる、嵐の大地パタゴニア。
そんな異名をとる世界最果ての光景を思いながらいただきましょう。

(※)知人のドイツ系チリ人の一家をホームパーティーに招いたときには、ワインとともにもちろんビールを用意しました。80代のおばあさんの生家は湖水地方でビール工場を所有していたけれど、某大手のビール会社に買収されてしまった、などと昔話をしてくれました。


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商品情報
商品名:Calafate Ale, AUSTRAL
公式サイト:https://cervezaaustral.cl/
販売場所: スーパーマーケットなどにて販売
値段:330cc 約1,500チリペソ(約274円)