
2018年3月8日(木)、札幌エルプラザ公共施設にて、「国際女性デー #MeTooさっぽろ緊急ミーティング」を開催いたしました。
昨年来、SNS上でセクハラを告発する「#MeToo」ムーブメントが世界中で拡がっていますが、日本全体ではその動きがなかなか拡がりません。
その背景には、セクハラや性暴力の被害について声をあげにくい状況や、声をあげた人に対して厳しい批判があがりやすい状況が考えられます。
そこで今回、性被害者への批判に対する向き合い方や、声をあげた人を支え、協力し合う緩やかなネットワークづくりについて、参加者とともに考え、女性のエンパワーメントに向けたアクションを起こすことを目的として、3月8日の国際女性デーに、札幌で初めての「#MeTooさっぽろ緊急ミーティング」を開催いたしました。
当日は、札幌市内の20代から60代までの計23名が参加し、和やかな雰囲気の中で活発に意見交換を行いました。
■テーマトーク1「#MeTooの運動のこれまで」
テーマトーク1では主催者より、海外や日本国内における#MeToo運動の目的とこれまでの動きについて概説されました。また、#MeToo運動の中で声をあげた人に対して向けられた「批判」や運動そのものに対する「誤解」といった問題について紹介された後、「今回の企画が目指すもの」として以下の3点が提示されました。
①声をあげた人を支える
無理に声をあげることを促したり、声をあげない人を非難することなく、
被害や問題を訴え、現状を変えようとする動きを応援する。
②批判に対する向き合い方を考える
批判に対して萎縮することなく、被害者に寄り添い、
声をあげた人を支え合うためには何ができるか、考える。
③当事者意識を広めていく
誰もが#MeTooの一員であるという意識を持ってもらうにはどうすればよいか。
問題解決に向けて協力し合うためには何ができるか、考える。
■テーマトーク2「性被害者への批判に対して、どう向き合う?」
テーマトーク2では、講師の日笠倫子弁護士から、性被害者に関する誤った認識や被害者に対して向けられる「批判」の問題点、「同意とは何か」といったテーマについて、具体的な事例をふまえながら参加者にも分かりやすくお話いただきました。
例えば、「強姦は、夜道で、若い女性が、見知らぬ人から被害に遭うもの」といった「レイプ神話」については、被害に遭う時間帯は昼も夜も関係ないこと、被害者の年齢層は幅広いこと、被害者は女性に限らないこと、また統計上は「面識のある人」からの加害が7割と多いことなど、事実に反する根拠のない思い込みであるとの説明がありました。
さらに、「必死で抵抗すれば、被害に遭わない」という理由から無罪判決になった性被害の裁判例についても、実際には暴行や脅迫がなくても被害者は体が硬直したり、声を出せなくなったりして抵抗できなくなってしまうことがあるにもかかわらず、日本では司法の専門職などにおいても性被害に関する正しい知識や理解がある人はまだまだ少ない状況にあるといった問題が指摘されました。
また、「強盗」であれば「なぜ必死に抵抗しなかったの?」と被害者が責められることはないのに、「強姦」の場合には被害者が責められてしまうというのはおかしいのではないか、という問いかけには、多くの参加者が共感を示しました。
「同意とは何か」というテーマでは、誰も持っている「性的自己決定権」に基づき、事前に、積極的に行われたものでなければ「同意」とは言えないこと、そして同意を得る責任はアクションを起こす側にあるといった説明があり、参加者も「同意」の正しい意味とその重要性について真剣な表情で耳を傾けていました。
■グループディスカッション「声をあげた人を支え、協力し合える社会をつくるために、私たちにできること」
後半は参加者同士で企画への参加動機やテーマトーク1・2の感想、自身の問題意識などをグループで自由に語り合いました。また、「声をあげた人を支え、協力し合える社会をつくるために、私たちにできること」と題し、そのための「ビジョン」と「アクション」について意見交換をした後、議論の内容を参加者全体で共有しました。
①ビジョン:支え協力しあえる社会ってどんな社会だろう?どんな支えや協力が必要だろう?
[以下、参加者からあげられた意見の一部をまとめたもの]
・対等な恋愛が出来る社会(男性の言うことを聞かなければならないのは×、パートナーと話し合いが出来る関係づくり)
・性行為と性暴力の違い、同意について全員が認識している社会
・被害者への批判ではなく、まず加害者に焦点があたる社会
・充分な性教育を行う(妊娠、緊急避妊薬、困った時にどこにいくべきかといった理解不足を補う)
・性別に関わらず全員の問題であると全員が認識している社会(セクシャルな問題であるため、なかなか男性の理解を得られない)
・性的な話題がタブー視されない社会
・性被害に関わらず、男女の平等が実現された社会
・被害者は勿論女性だけではなく男性もいるので男性も声をあげやすい社会
・どんな人にも気にかけてくれる人がいる社会
・嫌なことは嫌と言える社会
・強盗も強姦も話せる社会(強盗だと言えるけど強姦だと言いづらい)
・孤独ではない、しっかり守られる社会がいいな
②アクション:声をあげにくく批判が上がりやすい社会から、声をあげた人を支え協力しあえる社会に変えていくために、私たちにはどんなことができるだろう?
[以下、参加者からあげられた意見の一部をまとめたもの]
・行政の在り方も見直していく社会作り(ウィメンズマーチのような活動)
・当事者意識のない被害者もいるので(性犯罪の被害にあった事を認めたくない)「泣いても良いよ、怒っても良いんだよ、あなたは悪くない、よく言ってくれたね」と声をかける
・まず、話を聞き専門家やSACRACH等の話せる場所につなぐ
・些細な言葉にある性差別を指摘していく
・被害者が逃げなければならない状況を打開
・被害者をサポートする人は何かの色を身につけて支援する(その人が好きな色など)
・偏向報道があったらすぐに抗議する
・被害者と一緒に怒るなど意思表示をする
・「もし被害者が自分の娘、息子、大切な友人、家族だったら?」と自分ごとで考える
・声をあげつづけることで変わっていく
■以下、参加者アンケートより一部抜粋。
①イベントに参加しようと思ったきっかけ
・声を上げた方に自分で何ができるのか・・・参考にしたかった。また緩やかなネットワーク作りの必要性も感じていた。
・#me too について他の人の意見を直接聞きたいと思ったからです。
・性暴力だけが被害者の責任が問われる事に以前から問題に思っていた。しおりさんの問題も疑問があると思っていたので。
・ゆるせない行為だから。
・子ども達や若い人たちに悲しい思いをさせない社会にするために、自分は何ができるかヒントを得たくて参加させて頂きました。
・ムーブメントが日本でも札幌でも盛り上がってほしいから。
・平素、性の健康教育について助産師として携わっているので、性被害と無関係でいられないこととアクションをおこさねばと思うので。
・女性と人権が私自身のテーマであり、NPO活動の目的とする。暴力を選ばない・選ばせない意識作りと環境づくりに一致するからです。
・女性、子どもを守るために考えて行く必要があると感じて。日本に足りない支援だと思う。
・#me tooのムーブメントについて興味があったのと、真実では固定観念があふれる中でそれとは違う事を言う事はとても難しいと最近感じていたので参加しました。
②感想
・いろんな話が聞け、また自分がこれからどのような行動をとるべきかを再確認できて良かったです。
・弁護士さんのお話やディスカッションなど充実した時間が過ごせました。
・弁護士の先生の強い言葉を聞く事が出来て、確かにおかしいことが起きているのだなと思いました。
・強盗も強姦も同じ犯罪。これから普通に言える世の中に。
・強姦と強盗の話がとてもわかりやすかったです。もし友達等から何かうちあけられた時に(性被害に関わらず)受け止められる人にどうしたらなれるかみなさんの意見に考えさせられました。
・普段は話せないテーマにきちんと意識を持って向き合えた。
・あらためて暴力に対して性的自己決定と性被害容認について意識深まりました。社会を変えます。
・日笠さんの話、グループワークも皆さんと共有できて良かったです。
・皆さんのお話を聞けて良かったです。大なり小なり性暴力にあっている方も多く、被害の大小に関わらず全ての被害者が守られる社会を望みます。
・とても勉強になりました。これからも回を重ねて頂きたいと思います。
・若い人がたくさん参加されていて心強いです。
・これからも参加したいです。
③今後どのような企画に参加してみたいか
・男女問わず率直に語れる場があれば。
・被害にあった方への対応はもちろん、加害者を減らすための具体策を考える場面も、是非。
・声を出せる場を広げて下さい。
・痴漢は性犯罪でありながら、被害者加害者共に矮小化する傾向にあるのでは。無意識かに追いやっている事を話す機会もあるといいのではないかと思います。
・今日の様なワークショップや会話が出来る場。
・気軽に集まって話せるのは良いと思います。私も次は友達を連れて来ます。
本企画にご参加・ご支援いただきました皆様に重ねて御礼申し上げます。
#MeTooさっぽろ緊急ミーティング実行委員会
※イベント告知記事
https://wan.or.jp/calendar/detail/4992
※メディア掲載
・2018年3月6日(火)、北海道新聞、朝刊、生活面、「国際女性デー#MeTooさっぽろ緊急ミーティング」
・2018年3月19日(月)、北海道新聞、朝刊、生活面、「セクハラ被害 解決策考えよう『#MeToo』緊急ミーティング 札幌」
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