もしときサバイバル術Jr.

著者:片山誠

太郎次郎社エディタス( 2018-05-28 )


 72時間サバイバル教育協会代表理事の片山誠です。
 2011年、東日本大震災のあの日から、僕は時間をつくっては被災地にボランティアに行っていました。たくさんの人たちと出会い、お話をしていくなかで、アウトドアの世界に身をおく自分にできることは何かを考えるようになりました。でも、数年が経ち、被災地の話題もあまり出なくなり、よくいわれている「風化」が少しずつはじまってきました。 仲間たちと考えたのが、まわりに大人があまりいない状況下で災害に遭ったときのことを想定した2泊3日のサバイバルキャンプ。子どもたちといっしょに、空腹を体験したり、火のありがたみを感じたり、水の大切さをあらためて思い知ったり、とそれなりに学びがあり、最後のふりかえりのアンケートでも、とてもいい機会になったと、みなさん書かれていました。  だけど、何か、僕の心のどこかに引っかかるものがある。なんだろう……。
 わかりました。このキャンプに来てくれた子どもたち。終わって1か月もしたら、せっかくキャンプで学んだことが風化してしまっている……。  減災教育でいちばん大切なことは、継続すること。そこで考えたのが、この本にまとめた、サバイバルスキルを段階的に身につけながら「サバイバルマスター」になる8つのプログラムです。
 この本は、教えられたサバイバル技術をただ覚えるだけではなく、じっさいに試しながら、みずから答えを見つけるという能動的な学びのヒントが散りばめられています。そして、みごとにサバイバルマスターになったあとも、災害時に自分と大切な人を守るというミッションが与えられます。胸を張って名乗れる日まで、真のサバイバルマスターへの道は続くでしょう。
 今年2018年の6月以降、この本をテキストとする体験会をはじめ、「72時間サバイバルプロジェクト」を全国展開していきます(プロジェクトの詳細は、私たち72時間サバイバル教育協会のサイトをごらんください→http://72h.jp)。活動を拡げていくために、全国の野外活動団体も巻きこもうとしているのですが、同時に、全国のお母さん、お父さんたちにも、指導者となって、子どもたちのサポートをしていただきたいと思っています。
 ぜひ、僕たちの仲間になっていただければ幸いです。