6日夜、「日本未来の党」から回答が届きました。
「未来の党」は一部修正がありましたが、10政党からの回答がそろいました。
このアンケートの結果をぜひ、一人でも多くの人に伝えていただきたいです。

「私たちはジェンダー平等政策を求めます」政策リスト(回答書)


民主党


国民の生活が第一


社民党


共産党


公明党


自民党


日本維新の会


国民新党


日本未来の党


緑の党(今回は比例区にも選挙区にも候補を出していない)


Ø チャートから読み取れること
² くぼんでいる項目がどんな性質のものかをみていくと…

² 民主党は比較的ジェンダー平等志向があるといえる。ことに民法改正や女子差別撤廃条約関連、雇用・労働・ワークライフバランスに関連する項目は積極的だ。しかし、DVや性暴力、堕胎罪の撤廃など、親密な関係や性に対する公権力の介入のあり方を変化させることには消極的な姿勢が目立つ。また、女性雇用のあり方と密接に関連する配偶者控除の廃止や、国会での折衝を経ずに実現できる自党のクオータ制などについても消極的である。

² 社民党緑の党はジェンダー平等志向が非常に強く、この点での政策はほぼ一致しているといえる。

² 国民の生活が第一は、多くの党員がかつて在籍していた民主よりも、はるかにジェンダー平等政策に積極的である。ただし、「慰安婦」被害者にたいする謝罪と補償については態度を保留しており、論争になりやすい点については慎重な態度をとっていることがわかる。

² 共産党については、クオーター制以外のジェンダー平等政策にすべて賛成している。クオーター制は、すでに達成済みとしつつも、「クオーター制」という制度に賛同しないため反対しており、独自路線があることを伺える。

² 公明党は、 自民党と比較した場合、よりジェンダー平等への志向があるといえる。クオータ制の導入などについても、すでに独自に達成済みである。ただし、現状を超えて 女性の環境整備をすることに積極的かというと、「どちらかというと賛成」というゆるやかな態度をとるものが目立ち、また配偶者控除廃止や「慰安婦」への謝 罪・補償などのように、自民と同等かそれ以上に消極的な項目もある。

² 自民党は労働・経済に直接関連しないジェンダー項目にはあまり関心をはらっていない。反面、子育て休業や男性の育児休業取得推進、貧困解消には積極的である。ただし、配偶者控除の廃止など、家族と関連する部分については消極的な姿勢が目だつ。
差別に対する態度については、自民党は総論賛成、各論反対の観があり、差別をなくすということについては賛成するものの、そのための法整備や条約批准、クオーター制や国内人権機関の設置・導入等の制度、環境整備については消極的か、積極反対の立場をとる。

² 日本維新の会についてまず目立つのが「憲法24条(男女平等)の厳守」について積極的賛成を表明していないことである。アンケートに回答した全政党中、24条 厳守に「賛成」でなかったのは維新の会と国民新党だった。個別の差別撤廃に関する項目では、全体的に消極的ながらも、自民よりはやや積極性が見える部分も ある。(「婚外子差別をなくす」は自民の「反対」に対し、維新は「未回答」、「性的マイノリティへの差別・社会的排除をなくす」は自民「どちらかというと 反対」に対し、維新「どちらかというと賛成」)
しかし、憲法上の両性平等という大原則が揺らいでいるとしたら、個別の問題への取り組みも積極的には行われないのではないかという懸念が生じるだろう。自民党が賛成している外国籍住民への差別撤廃に対しても、「どちらかといえば賛成」と、積極性は高くない。
また、維新は被災地での女性雇用創出、防災減震計画への女性参画、貧困解消、介護負担軽減など、経済、労働に関連するジェンダー平等政策については自民党よりさらに消極的である。クオーター制導入、2020年までに指導的女性割合を30%にするなどの女性の能力活用にも強く否定的であり、自民党が、経済・労働関連項目については積極的推進を取り、すでに政策ラインにのっている2020年までの指導的女性割合目標などには賛成を表明していることと比較して、従来の男女共同参画の路線で合意を得ていたことに関しても、同意しない傾向が見える。
その反面、DV防止法の改正、性暴力禁止法制定など、家族や恋人の私的な関係に対して警察をふくめた公的な権力を介入させ、規制を行うことに関しては積極的な賛成の立場をとっている。

² 国民新党は民法改正、堕胎罪に関する刑法改正など国内法改正に関連する部分については積極的反対である。性暴力禁止法には賛成しているのに対し、DV防止法の改正には反対しているが、これはDV防止法改正の設問内容が「性別を問わず交際相手を含める」であったことを考えると、性的マイノリティへの差別・社会的排除をなくすことに「反対」と答えていることと関連させて考えるべきであろう。
また、同じくジェンダー平等政策に消極/否定的な傾向を持つ自民・維新と比較した際、女子差別撤廃条約に関する国民新党の積極性は目立っている。
なお、同党は家族のありようと関連する民法改正や、配偶者控除廃止には反対し、クオーター制や指導的女性の割合増加といった女性の能力活用 についても反対するが、従来の家族の枠組みを壊さない中での介護負担軽減、子育て支援、育児介護休業の男性の取得などに対しては積極推進の立場をとる。

² 日本未来の党は、未回答が目立つ。そのため、一見、多くの議員が合流している国民の生活が第一より後退したように見える。但し、それぞれに付記がしるされており、検討中の事項が多く、党内合意が取れていないことが分かる。(例えば、性的マイノリ ティ、外国籍住民の差別、社会的排除をなくすことについて、今後社会的排除の定義から党内で議論する)同党の回答の中に、積極的に反対、否定的な項目はな いことからも、ジェンダー平等に消極的というより、議論が深められていない不確定要素が大きいと思われる。
結党後間もない同党に対しては、今後市民団体を含めた働きかけにより、理解を深めてもらう努力が国民の側にも求められるのではないか。国民の生活が第一が高得点を出しているだけに、やや期待をこめて動向を注視したい。