
世界各国の男女格差の度合いを示す「グローバル・ジェンダー・ギャップ指数」によると、日本は144か国中114位、先進諸国でも異例の低さです。一方、男女の労働参加率の格差を解消できれば、日本のGDPは20年間で約1.2倍に上昇するといいます。
行動経済学が示すエビデンスに基づく、「ジェンダー平等への道筋」とは?
アメリカの5大オーケストラで、わずか5%だった女性演奏家の割合を7倍以上に増やしたのは、オーディション会場に1枚のカーテンを持ち込むという、実にシンプルな「デザイン」でした。
本書の主題となる「行動デザイン」とは、無意識のバイアスを可視化し、人々が自動的に望ましい行動をとるように仕向ける手法で、
ノーベル経済学賞(2017)受賞の行動経済学者R.セイラーが「選択の設計」と呼ぶ概念。
性別や人種による差別の解消に、コストをかけず、スピーディーに、法規制やインセンティブ制度を上回る効果が期待できるとして世界的に注目され、各国企業/政府での導入が進められています。
「意識向上を目指すダイバーシティ研修をやめる」「求人に対する応募プロセスを透明にする」「娘がいる男性はジェンダー平等を重んじる傾向があると知っておく」など、いますぐ実践できる具体的提言が満載。巻末の大竹文雄先生の解説では本書のポイントが分かりやすくまとめられており、一読の価値ありです。
日本でも急ピッチで進められる「女性活躍推進」や「働き方改革」にも大いに役立つ読み応え十分の本書を、この機会に是非ご高覧賜れば幸いです。
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