
「すでに半世紀以上前に亡くなっている山田わかの人生が多角的にかつ細やかに照らし出されているところに強く引き込まれるものを感じた。
売春を強いられそれを自己ナラティブの底に沈めて生き続けざるを得なかったわかもいれば、母性を礼賛しつつ戦時という時代状況下で次第に国家主義に傾倒していったわかもいる。
それらは、遠い過去の出来事というよりも、私たちがこの二十一世紀の日本で直面していることとどこかで響き合うものである。私は山田わかという視点から、自分と自分の社会を見直す。それはこれまで見落とされていた側面を照らし出してくれる新たな視点である」
——能智正博(東京大学大学院教授) 本書解説
「女性保守政治家の台頭する現在、彼女のような女性の思想変遷を検討する意義は大きいであろう」
——海妻径子(岩手大学准教授/日本女性学会第16期代表幹事)図書新聞 2018年7月21日号
女性思想家・運動家
山田わかの基本図書。劇的な人生を描く記念碑な評伝。
”奪われた性”から”愛国女性”へ。「愛」と「殖やす」の違和感。
山田わか(1879-1957)の思想から、21世紀の産み育てる性を”私も”考える。
教育とケアに関するテキストにも最適。
現在の日本では、国家による最重要の課題の一つとして、「少子高齢化対策」が叫ばれているが、産み育てやケア、結婚は、現代においてどう捉えられるだろうか。山田わかの劇的な生涯と議論は、自らが性暴力の被害者であり当事者として、恋愛や産み育てから出産、保育とケアにまでおよび、愛国と保守思想を強調してフェミニズムの暗部を残していった。
今日、教育やケアのトピックは、子育て、保育といった問題から、不倫に対するモラルのあり方、戦前の教育勅語から森友学園問題までおよぶ。さらには保守の立場から桜井よし子、杉田水脈といった論客、優生思想と生存の差別、世界的な#MeToo運動に至るまでが、メディアを賑わして国政や社会にまで多大な影響を与えている。
本書では第一線の研究者によって、こうした国家と教育、子育てとケアの思想が、山田わかの生涯を通して鮮やかに論じられ批評されている。
◎出版直後から反響続々
東京新聞書評掲載 2018年4月1日
「ふぇみん」書評掲載 2018年5月15日号
海妻径子「2018年上半期の読者アンケート3冊」選定(図書新聞)
紀伊国屋書店「基本図書」選定
その他反響多数
慰安婦
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