★みなさま ありがとうございました。
2011年8月から7年以上も連載を続けた「打越さく良の離婚ガイド」、今回が最終回です。ご愛読いただき感謝いたします。7年のあいだに離婚をめぐる法律、規則などが変わりましたので、新しい情報を組み入れて、単行本として刊行される予定です。★
結婚してずーっとハッピー…であればいいですが、多少の波風はつきもの。
カチンとくることはあっても、お互い様と許し合い、乗り切れるくらいの波風ならば、なんとかやっていけるでしょう。でも、こんなふうにまでなってきたら…。
いつも譲るのも、謝るのもこちらばかり。それどころか、バカにされる。無視される。生活費もくれない。暴力をふるわれる。自分がいけないのかと我慢しているうちに、心身が病気になっていく…。子どものためにと歯を食いしばって頑張ってきたけれども、子どもたちも荒れている。あるいは病気になっている。このまま夫婦でいることは、子どもたちのためにもならないのではないか。
ここまで思い詰めたら、即法律相談にいきましょう。ここまで思い詰める前の手前の段階でも、どうぞ行かれてください。この連載の豆知識があれば、だいたい離婚の手続きの概要などわかっていただけると思いますが、個別の事情をお伝えいただいたほうが、あなたのケースにあった助言をもらえることでしょう。離婚しよう!と固く決意していないときにでも、相談に行って、調停などの手続きを知るだけでも、「現状に我慢すること」以外の選択肢がみえてくることでしょう。それは、自分や、お子さんたちのもっと幸せな人生への再スタートの手がかりになるかもしれません。
でも、相手に離婚なんて言い出したら、怒り出すのではないか。どんなことをされるか怖い。それに、私の収入だけで子どもたちを育てていけるか心配。住まいもどうしたらいいんだろう。子どもは転校先でうまくいくだろうか。そもそも、「バカのお前の言うことを信用するひとなんて誰もいない。離婚なんてお前が言い出しても、こっちに勝てるわけがない」と言われてきた。本当に離婚できるかも心配…。
いろいろと心配が募るばかり。あれもこれも考えなくてはと心配になる気持ちもわかります。相手にバカにされているうちに、自分も自分がダメな人間だと思って、あれこれの心配ごとを解決できるのか…と心配になるかもしれません。
目の前にあるたくさんの課題は法的な手続きで解決できることもあれば、そうでないこともあります。今後の生活費のように、一部は法的な手続き、一部は自分の仕事、一部は手当など行政の手続き、と様々な手段によって解決することもあります。
心配してもしかたがない、前向きに進め、問題が起こったら都度対処しよう、というドンマイな気持ちの切り替えも大切です。もし病気になっていて、気合いで気持ちの切り替えなんか無理なときには、もちろん、無理しないでください。治療をしましょう。治療しながら、なんとか手続きを進め、離婚できた人もたくさんいます。解決できたら、いつの間にか病気も治っていた、という人もいます。どんどん進んでいくと、自分には物事を解決する力が残っているんだ、と実感できて、自信を取り戻すことができます。
依頼者が離婚まで辿り着いたときに、初めて相談にあらわれたときの自信を喪失し怯えていた人とは別人のように、快活で前向きになっている。そこまで伴走すると、弁護士冥利につきる、と感慨深いものです。
目の前にたくさんの課題があるようで、一挙にでなくても時間をかけて少しずつ少しずつ解決できていくものです。
大丈夫です!解決する力はあなたにあります。