
私たちの身近な食べ物についてさまざまな視点から改めて見てみようとまとめたのが今回の書籍だ。きっかけは大きく3つある。1つは、家族に健康被害があったことからだ。次男が小さいころ市販のお菓子を食べると体がパンパンに張れるほどの化学物資過敏症だった。当時幼稚園の先生の話から児童にアトピー、アレルギーが多くあることを知った。そこから、私たちはいったいなにを食べているのだろうと、素朴な疑問が生まれたこと。
2つ目は、子供の健康を考え、妻の両親の出身地・奄美諸島徳之島に9年間移住した経験があること。徳之島は長寿・子宝を謳っているが、実は本土からの簡易な食が入ることで早世になっていることを知ったこと。自動販売機も多く缶の投げ捨てでゴミも少なくない。
2つは、女子大で講義をするようになり、毎年、食と健康のアンケートをとっているのだが、体調不良の学生が多いということ。ダイエットの関心が高いが、バランスのとれた食生活を送っている学生は多くないということ。
そんななかで、一度全体を客観的なデータをみることで、私たちの足元の食から健康を見直してみようと思ったのだった。
蕎麦の自給率は24%。ほとんどが輸入で中国、ロシアなどから入っている。豆腐、醤油の原料大豆は自給率7%。塩は自給率12%。つまり私たちが日本食と思い込んでいる食べ物はほとんどが日本のものでない。多くを海外に頼っている。食糧自給率は先進国最低の38%。
日本人男性40代は肥満率34.6%。20代女性20.7%がやせ過ぎ。糖尿病患者は1000万人。小学生の1割近くが肥満傾向。日本の医療費は43兆3644億円。一人あたり国民医療費は33万円。
食は確かに豊富にあふれているが、食べかたの偏りで、私たちは生活習慣病を抱えるようになった。
国内で使われている農薬がミツバチを絶滅に追いやっている。私たちの使うレジ袋、ペットボトルなどプラスチックが海にながれ国際的な環境汚染に。日本で年間6万トンが海へ流失している。
などなど。ふだん簡易に気軽に食べているものから、その向こうに将来の危機を抱えている。一体なにが起こっているのか。そしてなにをするべきか。我が家の子供や家族の健康被害があったことから、話をひもとき55の素朴な疑問を取り上げた。
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