
地域に生きた女性たちを綴り続けて42年。第9集を2016年に発行し、3年が経ちました。
第10集では、「私たちの現在を問う―女性の活躍とは?」をテーマに歴史を遡ってみました。2017年.12月4日に行われた加納実紀代さんの講演『私たちの現在(いま)を問う―女性の活躍とは?』を特集といたしました。2月22日にお亡くなりになった加納実紀代さんが明治150年への思いを語ってくださいました。
戦前、女性には選挙権、被選挙権無し。結婚するには戸主の認可が必要。高等教育(国立)女子の機会は「女子高等師範学校」まで、旧制高校や国公立大学は男子のみ。教育制度は女性の差別化もたらし、民法では離婚は子を生さない妻に対して成立。姦通罪は女性に適用され、男子の徴兵制度は銃後を守る女たちという役割を制度づけることにもなりました。明治以降15回にわたる海外出兵、女性には「銃後の女」として戦争協力等々。明治以降の近代化は、女性にとって必ずしも生きやすい時代にはなりませんでした。
「今こそ力によらない平和をどうやって作るかを真剣に考えるべきだと、日本は唯一の被爆国だから、世界から危険なものを減らしていくために先鞭をつけるべきだと、女性の活躍はそのためにこそあるべきだ」との加納さんの最後の言葉を心したいと思いました。
昨今、女性活躍が話題になっているところから、その動向をジェンダー視点から捉えるために、私たちは、1970年代に始まったウーマン・リブ運動に焦点を置いて学習を進めてきました。ウーマン・リブ運動は、国際婦人年や、日本においては男女雇用機会均等法の制定につながっていき、第二次世界大戦後の女性の生き方に大きな影響を与えました。
昨今の、女性活躍推進法の施行を受けて、製造業を、基盤産業とする静岡県においても、各企業や自治体が女性管理職比率を向上させようと取り組みを進めるようになりました。しかしながら、性別に関わらず誰もが生きやすい時代となるには、多くの課題が残っています。
ウーマン・リブ運動が大事にしたものは、「自分の問いからスタートすること」です。それぞれの筆者が、自身の問題関心を主題化し、聞き書きを通じて、「自分の問い」に向き合ってきました。
<目次>
特集 私たちの現在(いま)を問うー女性の活躍とは? …加納実紀代
第1章 リブの運動を担った
【講演録】かけがえのない、たいしたことのない私 …田中美津
静岡におけるリブ運動〈山田久美子さん〉 …跡部千慧
第2章労働問題のいまむかし
【講演録】賃金のジェンダー平等を求めて
――同一価値労働同一賃金の変遷と課題 …居城舜子
「女性でも経済的に自立したい」と思い続けて〈高島和子さん〉 …大石潤子
男性中心型企業社会を生き抜いて〈川村美智さん〉 …跡部千慧
第3章 国境を越えて生きてきた人々
異国の地で英語教育60年〈シスター・ウィニフレッドさん〉 …大塚佐枝美
大正時代にアメリカに渡った祖母〈䕃山輝さん〉 …安本久美子
満洲に生まれ・満洲で育つ―日中友好を願って〈寺平充子さん〉・勝又千代子
〈寺平誠介さん〉 …鍋倉 伸子
満洲550キロを10歳と6歳で歩いて引揚げ〈望月郁江さん・望月泉さん〉
…勝又千代子
母娘2代に出会って:英和女学院の教師として〈三浦昭子さん〉 …杉山佳代子
幸せな小国オランダに住むことになって〈マート・三浦尚子さん〉 …大塚佐枝美
青年海外協力隊に参加して〈藤井卓子さん〉 …稲垣 吉乃・水井 恵子
第5章 書いて写して表現して
私の必帯品は辞書とワープロ
―両河内のお茶を日本一から世界へ〈片平千代子さん〉 …大塚佐枝美
1人で27年、2人で47年
―ふるさとの心育てて〈清水喜久栄さん〉 …大塚佐枝美
父「柳田芙美緒」の写真を守って後世に〈柳田夕映さん〉 …尾崎 朝子
漫画家としての半生を振り返って〈ごとう和さん〉 …鈴木 栄津
編集後記
慰安婦
貧困・福祉
DV・性暴力・ハラスメント
非婚・結婚・離婚
セクシュアリティ
くらし・生活
身体・健康
リプロ・ヘルス
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高齢社会
子育て・教育
性表現
LGBT
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