永井潔アトリエ館 第5回企画展 
「ゆきなりさんぼう─ヨーロッパ紀行」のご案内


「永井潔アトリエ館」は、画家・永井潔(1916年~2008年)の絵画・著作等に親しんでいただこうと2017年の4月にオープンしました。ただ今、その第5回企画展「ゆきなりさんぼう─ヨーロッパ紀行」を開催しています。1963年末から半年にわたった初のヨーロッパ旅行は、まさに「ゆきなりさんぼう=いきあたりばったり」な日々でしたが、気ままな心で描いた「かつての今」は50年余の時を経てなお新鮮です。また、代表作を揃えた常設展示もお楽しみいただけます。カフェでは『日本のわらい話』の挿絵原画をご覧いただけます。
お気軽にお立ち寄りください。 館長 永井 愛

永井潔アトリエ館 第5回企画展 「ゆきなりさんぼう─ヨーロッパの旅」

■会期/開催中〜2019年7月27日(毎週土曜日)※8月は休館
    11:00〜17:00(入館は16:30まで)
    ※カフェは16:00ラストオーダー  
■入館料(維持協力費として)/一般:300円・中学生以下 及び 賛助会員:無料
■所在地 〒179–0085 東京都練馬区早宮4−6−5
■アクセス 
東京メトロ 有楽町線/副都心線「平和台駅」出口2より徒歩約10分
都営大江戸線「練馬春日町駅」出口A1より徒歩約15分

永井潔アトリエ館HP https://www.nagaikiyoshi-atelier.com


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●第5回企画展「ゆきなりさんぼう─ヨーロッパ紀行」 約20点を展示しています。

「ヴェネツィアのカンカン」1964年 イタリア 鉛筆・水彩/紙 210×145mm 

まだ世界が東西冷戦下にあった1963年の12月、永井潔は旧・東ドイツへと旅立ちました。東ベルリンで開催される「現代日本版画展」に日本美術会代表として参加するためです。47歳にして初めてのヨーロッパ、ジェット機に乗るのもむろん初めて。そんな〝おのぼりさん〟状態のまま、翌1964年の7月にかけて、ルーマニア、スイス、イタリア、フランス、ベルギー、オランダ、デンマークをめぐった旅を彼は「ゆきなりさんぼう─ヨーロッパ紀行」(1964~65年「文化評論」)というエッセイに記しました。

「アスパラガスの缶詰工場」1964年 デンマーク 油彩/画布 606×728mm 

’ゆきなりさんぼう(行き成り三宝)’とは、’いきあたりばったり’のこと。旅はアクシデントの連続でしたが、「困ったときは、いつも見知らぬ友がどこからか現れて、その親切によって助けられた。不親切にも出会ったが、親切に出会った印象の方が強い。けっきょく私は人間に対する親愛を深めることになった」(同)と述懐するほど、生涯心に残る旅となったようです。今回は、その旅中で描いた作品を展示します。

「雪の夜の灯」 1964年  鉛筆・水彩/紙 246×340mm

ドイツの小旅行では『ヨーロッパスケッチ ドレスデン』(1964年/水彩)、『ドレスデン  城を望む』(同・水彩)、次に訪れたルーマニアでの『ブカレスト雪景』 (同/水彩)。イタリアでは『ヴェネツィアのかんかん』(同/水彩)2点と『ベニスの女』(同/水彩)。最も長く滞在したデンマークでは、『リンゴの花咲く裏庭』(同/油彩)、『アスパラガスの缶詰工場』(同/油彩)、『コペンハーゲンから来た娘』(同/油彩)、『税関の見える船着き場』 (同/油彩)、『樹間』(同/油彩)、『ボーゲンセの坂道』(同/油彩)、『ボーゲンセへの道』(同/油彩)、『アンデルセンの家』(同/油彩)、『ボーゲンセの魚屋』(同/油彩)、『ランゴオ駅』(同/水彩)、『デンマークのまきわり』(同/水彩)など、展示作品は20余点。 最初の宿泊地、ボンベイでカメラを失ったため、思い出に残したい光景はその場で絵に描きとどめるしかありませんでした。当時の彼には、新たにカメラを買うという選択肢がなかったようです。そんな状況もふまえてお楽しみいただけたらと思います。

「65歳の自画像」 1981年  油彩/画布 1000×727mm

●常設展示
玄関ホールから展示室1コーナーには代表作12点を展示しています。

二ひきのカエル(日本のわらい話より)

●カフェ展示
同期間中、館内1階「絵のあるカフェ」 では『日本のわらい話』(1971年/偕成社)の挿絵原画を展示しています。日本の民話におおなじみの、おじいさん、おばあさん、和尚さん、小僧さん、鬼、狸、狐、カエルなど、 永井潔が得意としたコミカルなパワーが全開です。