
日本の管理職に占める女性比率は他の先進国と比較しても顕著に低く、その増加の割合も緩やかである。本書は、社会心理学・労働社会学・労働経済学という異なる分野の専門家による管理職に女性が少ない理由を考察した著書である。男性中心のリーダーシップ像や女性が抱える心理的な葛藤、あるいは職場に根強い差別などが相互に関連して、女性が管理職になりたがらない状況が出現していると論じている。
しかし、リーダーシップが発揮できる能力には、男女差よりも個人差の方が大きい。伝統的な女性のイメージを社会が維持したままでは、女性の潜在能力が十分に開花されず活力ある社会が実現できない。
管理職に女性がなりたがらない心理的要因を生み出している一つに好意的性差別と呼ばれる性差別が存在する。たとえば、女性には体力的にきつい仕事や責任の重い仕事をあえて割り振らないといったことだ。一見女性に優しく聞こえるが、女性を男性よりも弱いものと捉え、伝統的役割に押し込んでしまう。これによって女性は知らないうちに自信を失っていく。
本書では、このような好意的性差別によって女性が自信を失うだけでなく、セクハラを生み出しやすいことを指摘している。
しかし、時代は変わって女性リーダを求める時代になっている。そのチャンスを手にするためには、女性自身にも、自らを変えていく勇気が必要とされている。
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