さっぽろ上野ゼミ「市民活動でジェンダー平等を実現するには」が4月13日、札幌エルプラザ(札幌市北区)で開かれ、シングルマザー、LGBT、女性史研究など、道内女性団体のリーダーら25人が参加しました。

札幌市男女共同参画センターが、男女共同参画に関連する活動をしている団体の活動促進を目的に企画しました。講師は認定NPO法人WAN理事長の上野千鶴子さん。午前中は2時間みっちり、上野さんの講義でした。1970年に田中美津さんの「便所からの解放」という文章を機に広がった日本のウーマンリブの歴史をひもときつつ、国内で男女平等政策が進んできた過程を紹介。女性政策が社会教育事業として進められてきたことや、求人などの労働行政は市町村の担当ではないこともあり、女性の就労に結びつきづらいという実態をデータを基に解説してくれました。


少子高齢化が進む日本では、女性を労働力として活用しようとする動きが進んでいます。企業などのセクハラ対応も劇的に変わりました。しかし、男女雇用機会均等法が成立した1985年は、労働者派遣事業法が成立した年でもあり、「ジェンダー平等法制と労働の柔軟化は同時進行してきた」。それが女性間も含む格差の拡大と階層化へとにつながっていると解説しました。階層化、格差の解消策については「労働時間の短縮」「年功序列制の廃止」「同一労働同一賃金の確立」と歯切れ良い口調で提言しました。

政治については、「戦後、女性参政権は認められたものの、女性議員は一向に増えず、女性の力が政治を変えるに至っていない」と厳しい指摘。市川房枝さんの言葉「権利の上に眠るな」を引用しつつ、私たちに奮起を促し(たような気がし)ました。また、女性を巡るさまざまな問題を解決するためには、「ネットワーキングが重要だ」と強調。合わせて戦略、戦術を誤らないことが肝心―ともアドバイスをいただきました。
昼食時は、参加者の自己紹介タイムです。午後からは、まず、参加者が一人ずつ、それぞれの団体の活動での悩みを挙げました。「資金不足」「活動がなかなか周知されない」「競合する他団体がいる」…。LGBT、シングルマザーの当事者、ガールスカウト団体の運営者、子育て支援団体の事務局長といったさまざまな立場から出てくる問題は、意外にも多くの共通点がありました。


続いて、「メンバーシップ」「情報発信」「お金」「ネットワーク」の4テーマ5グループに分かれて、解決に向けた戦略、戦術を話し合いました。最後は各グループごとに発表。「賛助会員を募集する」「業務を細分化し頼める仕事は他メンバーに振る」「学び合う場をつくる」など多数の意見が出ました。

密度の濃い6時間半でした。半年後に再び集まることになっています。今回の話し合いを通して、それぞれの団体がどう活性化されるのか、楽しみです。

ほぼノンストップの講義、ワークショップを担われた上野さんと、企画してくださったスタッフの方達にあらためてお礼申し上げます。 (受講生 稲塚寛子)