二重国籍と日本 (ちくま新書)

著者:国籍問題研究会

筑摩書房( 2019-10-10 )


2016年、2017年に蓮舫さんの「二重国籍」について報道が過熱しました。2019年、大坂なおみさんが日本の国籍を選択したという報道がありました。人は、親や出生地を選べません。他方で、日本と外国、多様な出自を持つ著名人は「どっちを選ぶの?」という好奇の眼差しを受け、国家からは「どちらかを選びなさい」というプレッシャーにさらされています。そしてその背後には、同様の課題を抱えて不安を感じている人々が存在します。

2017年当時の蓮舫さんの国籍に関するインターネット・マスコミ報道が生み出した雰囲気は、まるで二重国籍者に対する「いじめ」のようでした。蓮舫さんは、戸籍を開示して「潔白」を訴えるかのようでした。私は報道に違和感と懸念を覚えて、蓮舫さんの「『二重』国籍は日本の国籍法上、本当に問題なのでしょうか?」と問いかけましたが、なかなか通じませんでした。そんなとき、フリーのジャーナリスト・野嶋剛さんが書かれた記事が目に留まりました。同様の懸念を感じている方が存在することを知り、野嶋さんとつながり、少しずつ仲間を増やして、国籍問題研究会が立ち上がりました。2018年には、このテーマでシンポジウムを開きました。より広くたくさんの方にこの問題の根っこにあるもの、そして、当事者達の声を届けたいと思い、2019年にこの本を出版しました。
この本では、人が作った「国籍」という制度の矛盾をはじめ、その制度に翻弄されながらも、自分の道を切り開こうとする人たちの姿、それぞれの専門分野で応援している人たちの存在も感じられます。 2019年12月8日(日)には、出版を記念して多数のゲストを招き、シンポジウム「国籍ってなんだろう」を開催します。
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