
著者 石月静恵・大阪女性史研究会
書籍 『女性ネットワークの誕生:全関西婦人連合会の成立と活動』
版元 ドメス出版
定価 3400円+税
約百年前の1919年11月、大阪で女性団体のネットワークが誕生しました。それは、市川房枝や平塚らいてうらの新婦人協会が旗揚げしたことで知られる、初めての「婦人会関西連合大会」の場でした。
大阪朝日新聞社が、女学校の同窓会や宗教関係の女性団体、地域婦人会や趣味の会などさまざまな既存の女性団体に呼びかけ、まず発起人会が開かれました。同日午後、大阪の中之島公会堂で、約4000名の女性が参加し、平塚らいてう・山田わかの話に聞き入り、ピアノ独奏に耳を傾け、以後各地で連合婦人大会を開催することを申し合わせました。
翌年からは代表者会で、大会に提出する議題を精査し、大会で決議したことは政府などに打電するなど種々の活動を行いました。
1923年の関東大震災に際しては救援活動を行い、同年の第5回大会で「全関西婦人連合会」と改称し、御大典事業で開催を見送った1928年を除き、1941年の第22回大会まで継続したのです。
この間、1924年には機関誌『婦人』を発刊し、婦選獲得同盟と提携して女性の政治的権利を要求して請願署名運動も行っています。
また、女性の高等教育の充実も掲げ、岡山では高等女学校設立を実現しました。女性の地位向上を掲げて積極的な活動を展開した全関西婦人連合会でしたが、非常時体制下では、侵略戦争を補完した側面もみられるのです。その事も含め、女性ネットワークを築いた過程や問題点を本書から学ぶことができるでしょう。
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