
昨年末のジェンダーギャップ指数2019で日本は過去最低を更新したとおり、女性の生きづらさは今なお深刻です。女性の悩みに寄り添っていると思われる心理臨床や精神科医療にもじつはジェンダーの視点は欠けており、「男性と女性」「加害と被害」といった不平等な非対称性にもとづく女性たちの痛みは、中立性・客観性を重んじている限り、見えてこないものです。
本書では、女性として生きる中で出会う困難や違和感、痛みを、心理臨床という枠を超えて、家族・当事者・社会・性別という多様な位相から語り尽くします。「奇跡」のようなラインナップが叶い、ほんとうに切実で、魂を揺さぶる原稿がそろいました。どうかお手にとってご覧ください。
●目次
1 総論
いまふたたび「女性であること」を考える…信田さよ子
2 家族を生きる痛み
母と娘という問題系…信田さよ子/DVに立ち向かう女性たち…山口のり子/児童虐待死事件の取材から見えてきたもの…杉山春/中高年AC女性と介護…寺田和代
3 当事者の痛み
酔っていないと主張できなかった…上岡陽江/摂食障害を生きて…鶴田桃エ/発達障害を生きる…綾屋紗月
4 社会を生きる痛み
戦争と家族の暴力…中村江里/貧困問題と女性…上間陽子/塀のなかの女性たち…大嶋栄子/司法制度と家族…千田有紀
5 性別という痛み
「男ゆえの困難」の何が問題か…平山亮/“加害者性”に苦しむ男たち…清田隆之/性暴力加害者の責任を問う、とは…牧野雅子/トランス女性と性暴力被害…岩川ありさ/ジェンダーにおける加害者性と被害者性の位相…野坂祐子
エッセイ…坂上香/伊藤絵美/北原みのり
慰安婦
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