2019年度後期、和光GF読書会では、20歳代のメンバーを新たに迎え、活気ある議論を重ねました。今期取り上げた文献は、日本の女性学の先駆けとなった研究団体・婦人問題懇話会発行の会報および、この会の創設以来の会員で、女性の地位向上のためにさまざまな役職を歴任された赤松良子さんの自伝です。
前半期には、1962年に発足した婦人問題懇話会(2001年閉会)発行の『婦人問題懇話会会報』全59巻の中から、冊子型創刊号「主婦の就職」(1965)、第14号「現代の婦人解放」(1971)、第43号「変わる女子労働」(1985)の3冊を読みました。WAN共催の公開講演会「女性解放をめざした先輩たちと出会う―フェミニズムを引き継ぐために」(2019年10月開催)を鑑みた企画でもあります。
各論考の書き手は現在60歳代から80歳代くらいでしょうか。最も印象的だったのは、その方たちの率直な表現です。ミニコミ活動に多くの女性が関わっていた躍動を感じつつ、書き手にとってこのミニコミは、思いのたけを表現できる場であったのだと感じました。それぞれのテーマ設定が、それぞれの時代状況の中で、フェミニズム・女性学の核心となる課題であることも驚きでした。
後半期には、赤松良子さんの自伝『志は高く』(1990年有斐閣、2001年日本図書センター改題)を輪読しました。自伝を読むと、赤松さんが婦人問題懇話会会報に執筆された論考が、その後の女性の雇用問題への対応の原点となっていることがわかりました。
また、過去のNHKテレビ番組を視聴し、男女雇用機会均等法成立にかける赤松さんの気構えと行動力をより深く理解する機会を持ちました。男女雇用機会均等法成立過程に関わってきた赤松さんをはじめとする市民グループや審議会委員、政治家たちの社会改革に向けた奮闘の様相を知ることができました。
ミニコミで情報を発信し続けてきた女性たちや、政治の場で活動してきた女性たちの歩みを学んで感じたことは、読書会活動も、タテにもヨコにも「フェミニズムを引き継ぐ」活動につながるのではないかということでした。